マジックで使われるカード用語に「ハーマンカウント」というものがあります。
ハーマンカウントはマジック用語集や、カードマジック辞典にも載っている歴史あるテクニックです。
このカウント方法を習得していれば、パケットマジックの幅が広がり、高度なマジックを披露することが可能になるでしょう。
目次
ハーマンカウントとは
ハーマンカウントとはセントルイス出身のジョン・ハーマンが考案した、カードマジック基本技法の一つです。
ハーマンカウントを使うと、特定のカードだけを見せずに全てのカードを数えているように見せかけることができます。
では、ハーマンカウントはどのようなマジックで活用できるのでしょうか。
やり方を覚える前にテクニックの基礎的な知識を学びましょう。
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パケットトリックで活躍
ハーマンカウントはパケットトリックや、パケットマジックと呼ばれるカードマジックで活躍するテクニックです。
パケットトリックとは、トランプ全セットを使用せず5〜20枚程度の少ない枚数で行われるマジックを指します。
1970年頃から大流行し、日本でも数多くのパケットトリック用の手品グッズが発売されました。
ハーマンカウントはそんなパケットトリックや、その他のカードマジックでも使用頻度が高い技なので是非習得しましょう。
フォールスカウントの一種
ハーマンカウントは、フォールスカウントと呼ばれるテクニックの一種です。
フォールスカウントとは、カードを数える時に実際の枚数より多く数えたり少なく数えて、マジックのタネを隠す技法のことを指します。
そんなフォールスカウントの中には、すべてのカードを数えたように見せて一部のカードを隠すエルムズレイカウントというテクニックもあるのです。
エルズムレイカウントのやり方やコツを詳しく知りたい人は、解説している記事を参考に練習してみてくださいね。
ハーマンカウントのやり方
それでは、具体的なハーマンカウントのやり方について見ていきましょう。
下記の説明を参考にしながらカードの持ち方や手の動きなどを動画で確認しつつ、詳しいやり方をチェックしてみてください。
ちなみに、動画にあるような色違いのカードや枚数が少ないパケットの束は手品屋や東京マジックなどの手品マジック用品店で購入できるので、練習の効率がアップさせたい人は用意しておきましょう。
「前準備」
ハーマンカウントは5~10枚程度のトランプで行うテクニックです。
まず、テーブルにカードを広げて枚数を確認しましょう。
カードを集めて手に取る時に隠しておきたいカードが下に集まるように並べてください。
例えば、A〜9の9枚のカードのうち6〜9の4枚を隠したい場合、下4枚に6〜9を集めておきます。
【STEP1】カードを親指・中指で持つ
- カードを束ねたら、右手と親指と中指でカードの上下を持ちましょう。
- この時、薬指をカードの角に少しだけ触れる感覚で当ててください。
- カードを支えるのはあくまで中指と親指だけで、薬指は添える程度のイメージです。
- 人差し指はカードに触れていなくていいので、中指を軽く添えておきましょう。
【STEP2】左手でトップカードを引き抜く
- セッティングが完了したら、左手の親指でトップカードを引き抜いてください。
- この時のポイントは左手に持ったカードの手前側の角が、掌の真ん中あたりに付くように持つことです。
- 位置的には親指と小指の筋肉がぶつかって少しくぼんでいるあたり、手首から2、3センチ上くらいを意識しましょう。
- ハーマンカウントは、この支点をブレさせないことで成功率が上がります。
【STEP3】1枚目以降を重ねていく
- 1枚目以降も同様に左手の親指で、引き抜いていきます。
- 左手に持っているカードの上に重ねていきましょう。
- ポイントは左手の掌に付けた手前側の角と、右手に持っているカードの角を合わせることです。
- 毎回重ね合わせるような動きを意識すると、テクニックを実行する時も違和感がありません。
- 常に一定の動きになるように意識して、見せたくないカードの2枚前まで数えましょう。
【STEP4】パケットごと入れ替える
- 見せたくないカードの上に1枚カードが残っている状態になったら、右手に持っている束と左手に持っている数え終わった束を入れ替えましょう。
- カードを数える動作と同じ動きをしながら、右手でカードの角に添えておいた薬指を使って束同士を入れ替えます。
- こうすることで、見せたくないカードが数え終わっているはずの左手に、既に見せて数えたはずの束がまだ数えていないはずの右手に移動するというわけです。
【STEP5】1枚ずつカードを数える
- 束の入れ替えが完了したら、最初と同じように右手に残ったカードを全て数えていきましょう。
- カードの枚数によっては、最後に2枚カードが残ってしまう場合もあります。
- 最初に見せた枚数と数えた枚数が違うと怪しまれてしまうので、カードが2枚残った時は左手に持ったカードの上に、残った2枚をずらさないように置く形でカウントを終わらせましょう。
【STEP6】左と右のパケットを1つにする
- 全てのカードをカウントしたら、左手にパケットがまとまった状態になります。
- ハーマンカウントは一部のカードを見せずに、全てのカードをカウントしたかのように見せられるテクニックですが、使い方によっては数えているだけでカードの並べ方を揃えたりすることも可能です。
- パケットを1つにした時にどんな並び方になるのかを考えながら、束を入れ替える位置を調節しましょう。
ハーマンカウントのコツ
ハーマンカウントはいくつかのコツを押さえることでより自然に、スムーズな動作が行えるようになります。
まず、カードを扱うのに重要なのは、動作のテンポと観客の目線を任意の場所に促すことです。
もちろん丁寧な基礎動作も重要ですが、テンポや目線を意識できればテクニックレベルはさらに高くなるでしょう。
次ではそれらのポイントを含めて、ハーマンカウントを成功させる3つのコツを紹介します。
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カードがずれないように気を付ける
カウントする時にはカードがずれないように、しっかりと固定して動かしましょう。
ハーマンカウントは重ねた束を入れ替えたり、最後に複数枚のカードをまとめて動かしたりするテクニックです。
この時にカード同士がずれて重ねていることが分かってしまうと、カウントの際にタネを仕込んでいることがばれてしまいます。
カウントはテンポよく行う
カードの束を入れ替える所でテンポが速くなったり遅くなったりしないように、一定のテンポをキープすることを意識してカードを数えていきましょう。
ハーマンカウントの最大の難所は、右手と左手のカードの束を入れ替える時です。
それまでのカードを数えるテンポと同じ速さで入れ替えなければ、動きに違和感が出て怪しまれる可能性があります。
最初の内はゆっくりでも構いませんので、テンポよく行いましょう。
右手に注目を集める
右手と左手の束を入れ替える時はどれだけスムーズに行っても、やはり少し違和感が出てしまいます。
これをカバーするには観客の目線を、入れ替える手元ではなく数えたカードを持っている左手に集中させましょう。
ハーマンカウントで右手から左手にカードを移したら、手に持ったカードを観客に見せるように前に出して、視線を左手に集中させてください。
また、観客はマジシャンが見ているものを一緒に見る傾向があるので、自分の視線も手元ではなく左手に持ったカードの束を見るようにすると効果的です。
ハーマンカウントを使ったマジック
ハーマンカウントを使用したカードマジックはたくさんありますが、その中でも比較的ハーマンカウントを使っているタイミングが分かりやすいマジックがあります。
ハーマンカウントを使う時の手の動きやテンポ、実際にマジックに取り入れた時の雰囲気を学んでおけば、実践する時にスムーズにカードを扱えるでしょう。
ここでは、ハーマンカウントを使ったマジックの中から「ジョーカーズ・ファミリー」と「オイル・アンド・クイーン」という2種類のマジックを紹介します。
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ジョーカーズ・ファミリー
ジョーカーズ・ファミリー
ジョーカーズ・ファミリーは5枚のジョーカーが含まれたマジック道具を使ったカードマジックです。
まず、ジョーカーのボスと呼ばれる1枚のジョーカーが、裏向きの状態で机に置かれています。
ジョーカーたちはボスが大好きなので、ボスのマネをして1枚ずつめくられるたびに裏返しになっていくのです。
そして、4枚すべての裏返しになったジョーカーをめくってみると、なんとジョーカーが全員いなくなってしまいました。
最後に、4人のジョーカーが机に伏せられたボスのジョーカーの画像に加わって5人になっているカードが見せられマジックは終了します。
このマジックでは、最初に5枚のジョーカーがいるとカウントしている際にハーマンカウントが使用されています。
5枚のジョーカーに加えてジョーカーがいない絵柄のカードと、5人のジョーカーが集まった絵柄のカードがセットになった商品が販売されているので、ハーマンカウントやエルムズレイカウントを習得すればだれでもチャレンジできるマジックです。
オイル・アンド・クイーン
オイル・アンド・クイーン
オイル・アンド・クイーンは、カードの絵柄が変わったり順番が入れ替わるマジックです。
まず、赤と黒交互に重ねられたカードが示されます。
上から黒・赤・黒・赤と順番に並んだカードの内、4枚を伏せて机に置き、残りの4枚を表にするとそちらも黒・赤・黒・赤と並んでいます。
そのカードを一度まとめて裏返し、おまじないをかけると、交互に並んでいたはずのカードが全て黒のカードになっているのです。
さらに、机の上に伏せられた4枚のカードですが、全て赤のカードになっているのかと思いきや、全て絵柄のカードに変わっているという2段階の驚きを楽しめるカードマジックです。
オイル・アンド・クイーンは、最初にカードが交互に並んでいることを示す時と、手に持った4枚のカードが交互になっているかカウントで確かめる場面で、ハーマンカウントが使用されています。
手に持ったカードをカウントする時は比較的分かりやすいので、よく観察してみましょう。
プロのハーマンカウントを間近で観る方法
ハーマンカウントのようなカードを自由自在に操るテクニックを、間近で観てみたい人はプロのマジシャンを派遣できるサービス「MAGICDOOR」を利用してみてください。
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ハーマンカウントはカードマジックの必須テク!いかにスムーズにカウントできるかが鍵
ハーマンカウントはカードマジックを行う際に、必ず習得しておきたい必須のテクニックです。
ポイントはスムーズにテンポよくカウントすることと、パケットの束を入れ替えている手元から観客の目を逸らすことなので、何度も練習して手順に慣れていきましょう。
練習を積み重ねればスピード感もアップしていくので、おもちゃのトランプやマジック用のカードを使って練習してみまてくださいね。
ハーマンカウントを身に付けて、マジックライフをより充実したものにしていきましょう。
この記事のまとめ
- ハーマンカウントは一部のカードを見せずにパケット全てを数えているように見せるテクニック
- 派生元であるエルズムレイカウントを習得しておくとハーマンカウントの上達も早まる
- ハーマンカウントのコツはテンポが良いカウントと観客の目を上手く誘導して手元から離すこと
- ハーマンカウントの分かりやすい解説はMagic Movie Japan(MMJ)の動画を参考にしよう
- プロマジシャンのハーマンカウントが間近で見たいならMAGICDOORのマジシャン派遣サービスがおすすめ