マジックの規模に関わらず、観客の驚きを倍増させるための演出の1つ「サッカートリック」。
カードマジックでもイリュージョンマジックでも、マジックは成功するものと思ってみている観客に対して意外性を与えるパフォーマンスです。
もしかしたら、TVやYouTubeなどで目にしたことがある人は、意外と多いかもしれません。
今回の記事では、マジックをする人なら知っておきたいサッカートリックのやり方を紹介します。
目次
サッカートリックとはマジックの演出の1つ
サッカートリックとは、マジシャンが使う演出の1つで「失敗したように見せかけて、実際には成功している」というパフォーマンスです。
英語表記では「Sucker Trick」となり、英語の俗語であるサカー(Sucker:騙されやすい人)からきています。
そのため、「サッカートリック」の他に「サカートリック」と呼ばれることもあります。
言葉で説明するには少しややこしい感じがしますが、この演出方法はバラエティー番組やクイズ番組などでもよく見かけるパフォーマンスです。
マジックで行われるサッカートリックには、大きく分けて2つの方法があります。
- 失敗したように見せかけておいて、最終的には成功させる
- 嘘のトリックを解説した後、それでは解決できない方法で同じ現象、またはそれを上回る現象を起こしてマジックを披露する
どちらのサッカートリックにも共通していえるのが、観客の「更なる意外性」を狙っているということです。
いい意味で見ている人の期待を裏切り、驚きと感動を倍増させる効果があります。
しかし、サッカートリック後の観客の興奮を得たいからと、何度も失敗からの成功を披露すると、観客から「またアレか...」と読まれてしまい、意外性を失います。
そのため、ここぞというときに披露するのがいいでしょう。
とくにサッカートリックは、マジシャンの演技力や話術で観客を騙すテクニックが必要となる演出です。
サッカートリックを使ったマジック動画を紹介
サッカートリックのことがなんとなくイメージできたところで、実際にサッカートリックを使ったマジックを紹介しましょう。
YouTubeで公開されている動画をピックアップしましたが、画面の画像を凝視していても全くトリックがわかりません!
淡々と進めるマジシャンのトークにも注目してみてください。
こちらのマジックは、カードマジックの名手といわれている「チャーリーミラー」の「ダンバリーデリュージョン」という手品です。
彼の代表作であり、サッカートリックの傑作とも呼ばれている有名なマジックです。
相手が選んだカードを当てるという定番のトランプマジックですが、サッカートリックを使うことで驚きが倍増するという典型的なパターンを味わえる動画です。
「カードを選ぶ→戻す→当てる」という定番の流れに、選んだカードのヒントを3枚のカードで表すのですが、1つ目のヒントに正解のカードが出てきてしまいます。
さらに、2つ目のカードでは選んだカードと違う特徴を言うのです。
ここで「あ...失敗したんだ」と思うのが普通ですが、最後はしっかり選ばれたカードを当てる...という驚きのマジックとなっています。
「ヒントを出すはずのカードで正解のカードが出てしまった」という失敗にも見える驚きのマジックでした。
驚きが倍増する!サッカートリックを使ったトランプ手品のやり方
サッカートリックを使ったマジックの動画は、視聴しましたか?
「間違えたはずなのに不思議!」という観客の驚きが倍増するよう見事に演出するのがサッカートリックです。
特別なグッズやマジック商品を購入しなくても、練習すれば習得できるマジックはいくつもあります。
それでは早速、身近なアイテムのトランプを使用して、驚きが倍増するサッカートリックを使ったマジックのやり方を解説していきます。
パート①
こちらの動画も、相手が選んだカードを当てるというマジックです。
選んでもらった後にカードをシャッフルし、少しだけ上からカードを手に取り、3つの山にカードを分けて、選んだカードを当てるという設定です。
3つの山にカードを分けたあと、マジシャンが偶然選んだカードが出るかもといって、自分が手にしている方のデックをシャッフルして開いた1枚はジャック。
もちろん正解とは別のカードです。
しかし、そのあと3つの山の先頭にジャックが揃うという不思議な現象が起こります。
また、先ほど手にしていたジャックのカードが選んだカードに変わっていて、さらに3つの山を裏返すと、選んだ数字と同じ別のマークのカードが3枚出現するという、二度の驚きを与えるサッカートリックのマジックです。
種明かし
事前準備として2種類のカードを好みで選び、それぞれ異なるマークのカードを4枚ずつ用意します。
(※今回の説明はジャックが4枚・4の数字のカード4枚とします。)
相手に選んでもらうカードが「♡4」だとしたら、♡4を1番前・ジャック4枚・4の数字の残りのカード3枚の並び順にして、残りのカード束の上に重ねてスタートしてください。
- 相手の前でカード束をはじき、ストップと言ってもらったところで止める
- 2つに分かれた上部のカード束の1番上にあるカード(♡4)を、さりげなく下部のカード束の1番上にすばやくスライドさせる(※1)
- 1番上にきている♡4のカードを見せて覚えてもらう
- 覚えてもらったカードを1番上に戻したら、上部2枚をダブルカットでカード束の下にもっていく(下からジャック⇒♡4の順になっている状態)
- この状態で相手に少なめのカードを上からとってもらい、そのカードを3枚ずつ並べる見本を見せる
- その3枚のカードを回収してカード束の下にもっていく(下がジャック3枚の状態)
- 相手に見本と同じようにカードを3つの山に分けてもらう
- 残りの束のカードを手に取り、ダブルカットで♡4・ジャックの2枚を1番上にもっていく
- 「偶然カードが当たるかもしれません!」と言って、ダブルリフトを使い2枚のカードを表にしてジャックを見せる
- 「違ってましたね...」と言ってダブルリフトで裏返してから、3つの山の1番上を全て表にしてジャックを見せる
- 「でもジャックじゃないんですよね...」と言って選んだカードを聞き、残っているカード束におまじないをかけてから、1番上のカードを表にして♡4を見せる
- 最後に3つの山の束をそれぞれひっくり返して、残りの4の数字の3枚を見せる
▼(※1)「スリップカットフォース」というテクニックを使います。詳しく知りたい方はコチラ
仕掛けは単純なのに、何度も驚きのあるサッカートリックを使ったマジックでした。
練習は必要ですが、今回使用するテクニックを覚えてしまえば、マジックのバリエーションが広がりますよ!
パート②
こちらのマジックは、相手に2枚のカードを覚えてもらい、選んでもらったカードをデックに戻すと2枚のカードが裏返しになっているという驚きのマジックです。
先に当てたカードが2枚目のカードにも出てくる...という「失敗なの?どうなの?」と不思議な感覚に包まれるサッカートリックが使われています。
最後には先に当てたカードを表にすると変わっていて、2枚とも正解のカードが出てくるという流れになります。
即席マジックのような簡単さがありますが、2人の観客を驚かせることができます。
種明かし
- カードを上からパラパラと落とし、相手に好きなところでストップをしてもらう
- 選んだ場所のカードAを相手に見せて覚えてもらい、上の手で持っている方の束の1番下にあるカードBも別の人に覚えてもらう
- もう1枚のカードBを覚えてもらう間に、はじめに選んでもらったカードAの束を相手から見えないように自分側にしてから片手でひっくり返す(親指で1番上のカードをスライドさせて残りの3本でひっくり返す)
- ひっくり返したカードAの束の上に、カードBが来るように束に戻す
- カードを広げていくと1番はじめに覚えてもらったカードAが表面になって出てくる
- そのカードAをひっくり返して裏側にする動作をするときに、カードAの1枚上に位置するカードBをカードAの上にすばやくスライドさせて、カードBを裏面にしたままテーブルの上に置く
(相手はカードAがテーブルの上に置かれていると思う) - 2つに分かれている束の下の部分を上の束に重ねて、カードAが1番上にくるようにコントロールする
- 1番上のカードAの部分にブレイクをとり、半分くらい持ち上げて、カードの束をひっくり返して束の上に乗せる
- ブレイクから下のカードの束もひっくり返す(するとカードAだけが裏側の状態になる)
- 再びカードを広げていくと、1枚だけ裏側の状態になっているカードAがでてくる
- カードAを表面にして見せる
- カードBが出てくると思っていた相手に失敗だと思わせて、テーブルに置いてあったカードBを表にして、カードA・カードBを当てる
サッカートリックを使って、2人の観客を2回驚かすことができる不思議なマジックです。
最初は1人を相手にして、2枚覚えてもらうという方法で練習する方が、タネがバレづらくなるのでおすすめです。
パート③
観客が選んだカードを、2枚のジャックでサンドイッチして当てるという探偵マジックです。
最初にサンドイッチして出てくるカードは、サッカートリックにより不正解のカード。
しかし、おまじないをして3枚のカードを振ると、ジャックにサンドイッチされて選んだカードが出てくるという驚きのマジックです。
種明かし
事前準備として、2枚のジャックをトランプの束とは別にしておき、ジョーカーを束の1番下にセットしてからスタートします。
- トランプの束をはじいて相手に好きなカード1枚を選んでもらう(選ばれたカードを「カードA」とする)
- 相手にカードAを下の束の方に戻してもらい、上の束を重ねるときにブレイクをつくる
- ダブルカットを使ってカードAを1番上にもっていく(ジョーカーも1番下をキープ)
- 「ジャックの間に選んだカードが挟まれます」と言って、カードの束の上下に表面にしたジャックを配置する
(ここで「はい!これであなたのカードが見事挟まれました!」とギャグを言うと笑いを誘える) - すばやく1番上のジャックと1番下にあるジャック、その上にあるジョーカーだけをカード束を横に振る勢いで取り出す
- そのまま3枚を裏返してジョーカーを見せて、相手に失敗だと思わせる
- ジョーカーが裏になる状態で3枚をカード束に戻すと同時に、1番上にあるカードAの下にブレイクをつくる
- ブレイクから上4枚を取り上げる(相手には3枚だと思わせるのがコツ)
- 1番上のジャックをカード束にスライドさせて、完全には束と揃えず、やや奥にずらして乗せる
- 裏側になっているジョーカーをカード束に揃える形でスライドして乗せる
- ジャックとカードAを1枚のように見せながら2枚まとめて、完全にはカード束と揃えずやや手前にずらして乗せる
- 手前側の2枚を、真ん中のカード束に揃えるようにスライドさせて止める
- 再度2枚のカードを奥のジャックの方にスライドさせて、3枚をそのまま引き抜く
- 3枚同時に裏返すと、カードAが出てくる
ジャックのサンドイッチによって、コミカルな演出もできるサッカートリックを使用したマジックです。
手順を覚えるまでが大変かもしれませんが、練習すれば確実に習得できるマジックです。
驚きを体験したい人はマジシャンの派遣サービスがおすすめ!
いくつもの動画で解説してきたサッカートリックですが、実際に目の前でみる方が驚きが倍増するはずです。
今後、会社の祝賀会や結婚式など何かのイベントを控えている人は、プロマジシャンの派遣サービスを活用して本物のテクニックを見てみてはいかがでしょうか。
多くのプロマジシャンが在籍する「MAGICDOOR」では、小規模から大規模なイベントまで、お客さまのニーズに合わせてプランを提案してくれます。
料金やサービス内容の相談もできるので、あなただけのオリジナルプランをつくることも可能です。
大事なイベントの日だけでなく、仲間内の飲み会に呼びたいという希望も、気軽に叶えられますよ。
本物のマジックを間近で見たい人は、迷わず公式サイトをチェックしてみてください。
サッカートリックを使えば驚きや感動が倍増する!
マジックだけでなく、TVドラマやバラエティー番組など、多くの分野で使用されているサッカートリック。
観客に失敗したと見せかけておいて、実は成功しているといういい意味で期待を裏切る演出方法です。
また、サッカートリックを使った本格的マジックを目の前で体験するなら、マジシャンの派遣サービスがおすすめです。
プロマジシャンが目の前で行うマジックは、動画で見るよりももっと大きな驚きを体験できることでしょう。
この記事のまとめ
- サッカートリックとは、失敗したと思わせておいて実は成功しているという演出のこと
- サッカートリックの傑作と呼ばれるマジックは、チャーリーミラーさんの「ダンバリーデリュージョン」
- サッカートリックを成功させるには、テクニックだけでなく演技やトークの役割も大きい
- ブレイクやダブルカットなど、基本的なマジックテクニックがあればできるものが多い