カルはカードマジックをする時に、ぜひとも習得しておきたいコントロール技法の一種です。
好きなカードをボトムの位置に移せるので、「カードを見ずに観客が手に取った絵柄を当てる」という定番ながらも盛り上がりやすいマジックに活用することができます。
カルの基本的なやり方やマジックでの取り入れ方を学んで、カードマジックのスキルをワンランクアップさせましょう。
目次
マジックテクニックのカルとは
カルとは、19世紀中頃に活躍していたマジシャン、ホフジンサーが考案したコントロールテクニックです。
その後、エドワード・マルローやフランク・サイモンなど著名なマジシャンが多数の改案を発表し、今ではカードマジックに欠かせない技法の一つとなっています。
ちなみに、フランク・サイモンが発表した方法は現代では「コンビンシング・コントロール」として広まっています。
マジックのテクニックは、一つの原案からたくさんの派生が生まれ、改案したマジシャン独自の技が組み込まれていく点も魅力の一つなのです。
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ボトムコントロールの一種
カルは目当てのカードをスプレッドの過程で、デックのボトムカードにするという技法です。
これに似たカードマジックの技法に、ボトムコントロールと呼ばれるものがあります。
これはカードの束を広げたり閉じたりしている間に、任意のカードを束の一番下に持ってきてボトムカードにできる技です。
カルはこのボトムコントロールの一種と言われています。
しかし、ただ一つ異なるのは、カルの場合は応用すればボトムだけではなく好きな位置にカードを移せるという点です。
カルはさまざまなトリックに使われているので覚えておけばカードマジックの幅がグッと広がるでしょう。
「スプレッド・カル」が中心
カルは使い方によっていろいろな名前があり、マジック業界ではスプレッド・カルという呼び方が中心になっています。
1995年にロベルト・ジョビーが書いた「カード・カレッジ Vol.1」でスプレッド・カルという技名が紹介されてから、スプレットの下でカードを引き出す技法をスプレッド・カルと呼ぶことが主流になっていきました。
一方で、ギャンブルで披露されるカードテクニックのカルは、スプレッド・カルではない別のカルを指しているケースがあります。
今でもカルにはスプレッド・カル以外にも、コスチャ・キムラットの考案したロードランナー・カルなど複数の種類技がありますが、解説などで「カル」と言われた場合にはスプレッド・カルであることが多いでしょう。
カルのやり方
カルのやり方にはいくつかの種類があります。
動画では複数のカルが開設されていますが、最もオーソドックスなやり方を覚えておけばマジックに活用できるでしょう。
ここでは、観客にカードを1枚選ばせてからデックの一番下に渡すやり方を順に説明します。
動画の解説も参考にして、どこでどんな動きをしているのかじっくり分析しましょう。
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- カードを右手側に軽く広げる
- まず、デックの裏面を上にして左手に持ちます。
- 親指で裏面、他の指で数字や絵柄が書かれた表面を持ってください。
- この状態から右手方向に親指を使ってカードを流し、広げていきます。
- 観客には好きなタイミングで1枚選ぶように伝えておきましょう。
- 観客がカードを選んだら、自分は見ないようにそのカードの絵柄を観客に確認させて元の位置に挿し戻します。
- 移動させるカードを右手の指で引く
- 挿し戻したカードが、左手のトップカードの位置にある状態にします。
- 右手のデックを重ねながらトップカードだけを右手の指で引っぱっておきましょう。
ポイント
カードを挿し戻した時にスプレッドの下で突き出したままにしておくと、上手く右手の指でキャッチできます。
- 抜いたカードを左手の指で受ける
右手で目当てのカードを引き寄せたら、広げたデックを戻す動作をしながら左手の指で目当てのカードを受け取りましょう。
ポイント
開いたスプレッドを束ね直すようなイメージで右側の束を上に、左側の束を下に集めましょう。
- カードをボトムに入れて閉じる
左の指で受けたカードをボトムに渡してデックを揃えれば、観客が持ったカードがボトムカードになっている状態が完成します。
この他に、
- 目当てのカードを右手に渡してからボトムに入れる方法
- 上に突き出させたまま入れる方法
などもありますが、まずはやりやすいこのカルを習得してから応用テクニックを磨きましょう。
カルをマジックで使う時のコツ
選んだカードをボトムカードに出来る便利なカルですが、観客に違和感を持たれずに成功させるにはいくつかのポイントがあります。
カルをマジックで使う時の大事なコツは、
- 「両手の間を離すこと」
- 「スクリーン役のカードでカルをしていることを隠す」
ということです。
それぞれどう気をつけたらいいのか見ていきましょう。
両手の間を離す
カルが上手くできない時は、左右の手をしっかり放してスプレッドを広げるようにしましょう。
両手の間を近づけるとカル自体はしやすいのですが、目当てのカードが見つけにくくなり動作がもたついてしまいます。
右手の指の付け根より掌に近いところでスプレッドを保持し、なるべく両手を広げながらカルしやすい自分の距離感を見つけてください。
スクリーン役のカードで隠す
カルを行う時には、ボトムに持っていきたいカードの上に重ねるカードをスクリーン役に活用しましょう。
カルしたいカードがトップにある状態だと、下側で引き抜いている動きが見えやすくなってしまいます。
そこで、上のカードをカルしたいカードが隠れるくらいまで重ねることで目隠しの役目をしてもらうのです。
カードはぴったり重ねるのではなく上のカードがやや飛び出すくらいまで重ねてしまいましょう。
そうすれば裏が見えない状態で、目当てのカードを右手に渡すことができます。
カルを使ったマジック
カルはたくさんのマジックに活用されている便利なテクニックです。
実際にマジックで使用されている様子を見ると、
- どんな手つきで行えばいいのか
- 動きのタイミングはどうしたらいいのか
などが掴みやすくなりますよ。
ある程度練習を重ねたらカルを使っているマジックの動画を見て、イメージトレーニングしてみましょう。
カルを使ったマジックについて、実演と解説がセットになった分かりやすい動画を2本紹介します。
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ふしぎなカード当て
「ふしぎなカード当て」というマジックは、観客が選んだカードをノーヒントで当てるというものです。
どんなマジック?
- スプレッドされたカードの中から1枚のカードを選んでもらいます。
- そのカードを見ないようにして観客(動画でいう視聴者側)に見せ、カードの束に戻します。
- その後、「ノーヒントで当てる」と言う配信者は、抜き出したカードの絵柄を当ててしまうのです。
スピーディーな手品でありながらインパクトが大きく、宴会芸などで盛り上がりそうな作品でした。
このトリックでは、観客がカードを抜き取り、カードの束を一つに戻す時にカルが使われています。
動画では実演の後に解説も行われているので、カルのタイミングをチェックしてもう一度実演を見れば、「ここでカルしてるな」と気づきやすくなりますよ。
カルを使ったサンドイッチカード
「サンドイッチカード」はカルを使うマジックの中でも、カルのタイミングに注目されにくいマジックです。
どんなマジック?
- スプレッドされていくカードの中から、観客に1枚のカードを選んでもらいます。
- そのカードを確認してもらった後、カードの束をまとめシャッフルします。
- そして再びスプレッドしながら観客の好きなタイミングでカードを止めて、2枚のカードを表に返します。
- カードを表にしたまま束に戻し、最後にテーブルの上にリボン・スプレッドしてカードを広げると、表向きのカードの間に裏向きのカードが1枚挟まっているのです。
- それを裏返すと、なんと選んだカードが現れました。
このトリックでは選んだカードを返してもらって、シャッフルした後にカルが使われています。
実演後の解説を見て初めて分かるくらいのスムーズな流れで、「注目していない場所でタネを仕込む」ことの重要さが分かる動画でした。
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カルを使ったマジックはたくさんある!カルが習得できたらアレンジも加えてみよう
カードマジックの中には、カルを使ったトリックが複数あります。
手品用品などを使わず、トランプのデックがあればできるテクニックなので、まずは練習して手にカルの動きを慣らしていきましょう。
カルのテクニックが身に付けば今まで以上に幅広いマジックにチャレンジできるようになりますよ。
また、カルにはいろいろなやり方があります。
定番のやり方に慣れてきたら、応用テクニックを参考にしてアレンジを加えてやりやすい方法を追求してみましょう。
この記事のまとめ
- カルはスプレッドしながら好きなカードをボトムに移動させるテクニック
- マジック業界でカルと言う場合、スプレッド・カルを指すことがほとんどである
- 左手から右手にカードをスプレッドする際に手と手の間を広く取るとカードをスムーズに移せる
- カルを始めとしたカードマジックのテクニックを学びたいなら「Magic Movie Japan(MMJ)」を見よう
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