カードマジックに挑戦したいと思ったとき、まず最初にマスターするべき基本技法のひとつとして挙げられるのが「セカンドディール」です。
セカンドディールとはいったどのような技法なのでしょうか。
また、どのようなマジックに応用することができるのでしょうか。
今回は、セカンドディールのコツや種類、実際に使われているマジックについて、詳しく解説していきます。
目次
【セカンドディール】とは?
セカンドディールとは、カードを配る際、トップカード(1番上のカード)から2枚目(セカンド)を配る(ディールする)というカード技法です。
一組のトランプのトップカードを配るように見せかけて、実は2枚目を配るというトリックの1つで、いろいろなマジックに応用されています。
トップに自分が出したいカードを置いておき、それを自分が好きなタイミングで出すことができます。
日本では、マジックの神様とも呼ばれる「ダイ・ヴァーノン」が来日した際に、セカンドディールを披露したことから、日本のマジシャンの間で流行するようになったといわれています。
セカンドディールのコツ
セカンドディールのコツは、いかにトリックに気づかれずスムーズに配るかということ。
持ち方や指の位置、押し出し方などいろいろなコツがありますが、ポイントは左手親指の動かし方にあります。
まず、デック(山札)を左手にディーリングポジションで持ち、左手親指でトップカードを少しだけ手前に引きます。
そして、右手の親指で2枚目のカードだけを右斜め前に素早く抜き出すのです。
この動きを素早く繰り返すだけですが、スムーズにより自然にできるようになるにはかなり練習が必要になります。
また、使用するカードも重要です。
マジックには裏面に淵のある「バイスクル」というブランドのカードがよく使用されていますが、セカンドディールにはカジノでよく使用される淵のない「Bee」が向いているとされています。
セカンドディールの種類
セカンド・ディールには大きく分けて、「ストライク・メソッド」と「プッシュ・オフ・メソッド」の2つの種類があります。
この2つのセカンドディールは、習得する難易度に違いはあるのでしょうか。
それぞれどういった特徴があるか、詳しく解説していきます。
ストライク・メソッド
「ストライク」は”叩く”という意味であり、親指でカードを叩き出すというイメージのセカンドディールです。
トップカードをほとんど動かさないで、2枚目のカードだけを右親指で素早く引き抜く方法です。
通常の配り方と異なってしまいますが、比較的簡単にマスターできるので、セカンドディールといえば一般的にはストライク・メソッドを使っている人が多いといわれています。
プッシュ・オフ・メソッド
プッシュオフ(押し出し)を使ったセカンドディールです。
左親指でトップカードと2枚目のカードも一緒に押し出し、右親指で2枚目のカードだけを引き抜く方法です。
それと同時に左親指でトップカードを元の位置に戻します。
通常の配り方と似た動きというメリットがありますが、ストライク・メソッドに比べ難易度が高いといわれています。
はじめはギャンブルのテクニック
カードマジックにも広く使われているセカンドディールですが、もともとはギャンブルのカードゲームで使われていたイカサマのテクニックです。
セカンドディールを成立させるには、トップカードが何のカードであるか知っておく必要がありますが、それはギャンブルの場では簡単なことではありません。
しかし、マジックの場合は比較的簡単にトップカードを知っておくことができますし、パフォーマンスとして使いやすい技法であるといえるでしょう。
セカンドディールを使用したマジック
セカンドディールを使った有名なマジックを紹介していきます。
どのマジックもセカンドディールの高度なテクニックが必要といわれています。
チャーリー・ミラーのDanbury Delusion
一見失敗したように見せかける「サッカートリック」の名作と言われるマジックです。
やり方
- 観客にカードを1枚選んでもらい、デックに戻し、しっかりシャッフルします。
- 選んだカードを当てるために、ヒントになるカードをデックから3枚抜き出します。
- 1枚目のカードは選んだカードの色、2枚目のカードは選んだカードの数字、3枚目のカードは選んだカードが上から何枚目にあるかを表します。
- しかし、その取り出したカードの中に観客が選んだカードがあるのです。このマジックは失敗だと観客は思います。
- 3枚目のカードが表す位置にあるカードを抜き出してみたところ、なんと観客が選んだカードが出現します。
アレックス・エルムズレイのDiamond Cut Diamond
セカンドディールに大きく依存したマジックで、さまざまなバリエーションも誕生したマジックです。
やり方
- Aから10までの10枚のダイヤのカードを数字の順番に並べて、山札にバラバラに差し込みます。
- しっかりシャッフルして、カードの束の中から観客に1枚のカードを選んでもらい、再度山札へ戻します。
- 観客に1から10までで好きな数字を発言してもらいます。
- 山札の上から1枚ずつ表向きに配っていくと、なんと「A、2、3…」とダイヤのカードが順番になっているのです!このとき
- 発言してもらった数字の位置にあるカードは裏向きのまま配ります。
- 最後に裏向きのカードをめくると、観客に選んでもらったカードが現れます。
ビル・サイモンのCall To The Colors
指を鳴らした数によって、出てくるカードの枚数が変化するマジックです。
やり方
- よくシャッフルしたカードを1つに束ね、指を1回鳴らします。
- カードを表向きにテーブルに配っていくと、赤と黒のカードが交互に出てきます。
- もう一度カードを1つに束ねて、次は指を2回鳴らします。
- すると今度は、赤と黒のカードが2枚ずつ交互に出てきます。
- 3回指を鳴らせは3枚ずつ、10回指を鳴らせば10回ずつ交互に出てきます。
宮中桂換のNon-Prediction
日本のマジシャン宮中桂換氏が考案した、セカンドディールを使ったマジックです。
やり方
- 観客に好きなカードを選んでもらいます。
- カードを束に戻したら、選んだカードの色を聞きます。
- カードにおまじないをかけるとカードの束の厚みが薄くなり、表向きに1枚ずつ配ってみると、すべて選ばなかった方の色のカードのみになっています。
- その中に1つだけ違う色のカードがあり、それが最初に選んだカードです。
マジックには種がある
マジシャンが、観客が選んだカードをズバリ当てるという不思議なマジック。
そのマジックには、「セカンドディール」という技法を使われていることが少なくありません。
マジックは種も仕掛けもあります。
練習すれば、誰でも周りとあっと驚かせるようなマジックを披露することができるようになるはずです。
マジックのテクニックを学ぶなら、マジックの情報サイト「マジックムービージャパン」をおすすめします。
カードマジックをはじめとした初心者向けのマジックの動画コンテンツが多数投稿されており、映像を再生しながら真似をするだけで、誰でも習得することができます。
ぜひセカンドディールを活かしたマジックパフォーマンスを身に付けてみてください!
セカンドディールはひとつのテクニックに過ぎない
カードマジックに欠かせないセカンドディールは、練習すれば誰でもできるようになるカードテクニックのひとつです。
もちろん、より高度なテクニックとして魅せるためには、何度も練習する必要がありますが、コツさえつかめばすぐにマスターすることができるでしょう。
カードマジックの幅を広げたい、もっとマジック盛り上げたいという人は、ぜひセカンドディールを練習してみてはいかかでしょうか。
この記事のまとめ
- セカンドディールはカードの2枚目を配る技法
- セカンドディールには2つの種類がある
- もともとはギャンブルのイカサマに使われていたテクニック
- セカンドディールを覚えればいろいろなマジックができる