マジックはさまざまな種類があります。
そのなかで、「真ん中に入れたはずのカードが、なぜか1番上になっている」というカードマジックを見たことはありませんか?
このマジックは、カードマジックの中で最もポピュラーといわれている「アンビシャスカード」というものです。
今回は、アンビシャスカードの種明かしとポイントについて徹底解説していきます。
目次
アンビシャスカードとは?
選ばれたカードがデック(山札)のトップに上がってくるという現象を、マジシャン用語で「アンビシャスカード」「アンビシャス現象」といいます。
アンビシャスカードは、カードマジック史上最もポピュラーなトリックの1つとして知られており、直訳すると「野心を抱くカード」という意味です。
アンビシャスカードの起源は1800年代といわれていますが、トリックカードの名手として知られるダイ・バーノンが1920年に書籍「Stars of Magic」に作品として掲載し、はじめてアンビシャスカードと題されました。
ダイ・バーノンは、「脱出王ハリー・フーディーニを騙した男」とも呼ばれる伝説のマジシャンです。
日本では、テレビなどでおなじみのマジシャン前田知洋さんの、カードを2枚同時にめくる”ダブルリフト”という技法を使った演技が有名です。
どこでもできるのがメリット
アンビシャスカードは、観客の至近距離で魅せる「クロースアップマジック」のカテゴリに分類され、いつでもどこでも場所を選ばずに行えることが最大のメリットです。
1組のトランプさえあれば、テーブルがなくても演じることができ、事前の準備も必要ありません。
ですので、即興性が高いマジックでもあります。
ダローの言葉
ダローはFISMというマジック世界大会のカードマジック部門において、アンビシャスガードの演技で第1位を獲得しました。
ダロー自身が、FISMで世界一を獲得したときのアンビシャスカードの手順を実演・解説したDVDは、日本でもヒット。
アンビシャスカードが注目を浴びるきっかけを作りました。
ダローは
- 「もし一生に1つのマジックしかできないといわれたら、迷わずアンビシャスカードを選ぶだろう。この中には、マジックのエッセンスがすべて詰まっている」
と語っています。
アンビシャスカードを実践
アンビシャスカードを実践するとき、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
詳しいやり方と手順を紹介していきます。
早速動画を見ながら一緒にやってみましょう!
やり方
- シャッフルしたカードの中から、観客に好きなカードを1枚選んでもらいサインをしてもらいます。
- 演者はそのサインカードを受け取り、デック(山札)の真ん中あたりに入れます。
- トップカード(山札の1番上のカード)とボトムカード(1番下のカード)を見せ、サインカードではないことを観客に見せます。
- 演者が指を鳴らし、再度トップカードを表に向けると先ほどのサインカードが現れます。
- サインカードを裏向きにし、再度度デックの真ん中あたりに入れます。
- 演者が指を鳴らすと、サインカードが再びトップに現れます。
コツ
- 観客にサインしてもらったカードをデックに戻すとき、トップカードを斜めに3mm程度少し浮かしながら、サインカードを2番目に入れるようにします。(ティルトという技法)
- トップカードを確認するときにトップカードと2番目のカードをまとめて裏返します。(ダブルリフトという技法)トップカードがサインカードであるように錯覚させます。
- サインカードを再度デックに戻すときも2枚重ねたまま、裏返します。
- トップカードだけをデックの真ん中付近に入れます。
- 最後にトップになっているカードは、サインカードになります。
アンビシャスカードのコツ
アンビシャスカードを行うときのコツやポイントとなる部分をまとめました。
角度を研究
最初にサインカードをデックに戻すとき、トップカードを浮かしているのが不自然にならないよう、なるべくトップカードが水平にするのがポイント。
観客側から見えないように、角度には気をつけましょう。
鏡の前で練習するのがおすすめです。
ダブルリフトテクニック
トップカードと2番目のカードを2枚同時に裏返すとき、まるで1枚のカードかのように見せるテクニックが必要です。
2枚がずれないように持ち、スムーズに裏返すようにしましょう。
はじめはぎこちない動きになりがちですが、慣れてくると自然にカードを扱えるようになります。
連続して披露する
通常マジックには、同じマジックを2度繰り返し見せてはならないという決まりがあります。
しかし、アンビシャスカードではあえて繰り返し行うことでマジックをより不思議に見せる効果を高めることから、2度行うことがセオリーとなっています。
【おまけ】一般的なマジック
一般的によく行われるマジックには、トランプ以外にも身近にある日用品などあらゆる道具が使われています。
まずは、忘年会や結婚式の余興からパーティーまで、幅広く披露されるマジック道具と主なマジックを紹介していきます。
サイコロを使ったマジック
サイコロ(ダイス)を用いたマジックは、コップやジャグリングと組み合わせて演じられることがあります。
ビジュアル的にも演出的にも、観客をより楽しませることができるマジックです。
コインを使ったマジック
本物の硬貨やマジック用のコインを用いたマジックは、瞬間移動や消失、変化などシンプルなものが多いのが特徴です。
しかし、シンプルであるがゆえ高度なテクニックが必要になります。
カードを使ったマジック
マジックの定番であるトランプマジックは、初心者でもできるものから、高度なテクニックが必要な上級者向けまでさまざま。
数千もの種類がものあるといわれています。
カードマジックのトリックは、主に3種類です。
ギミック(仕掛け)を使ったもの、スライハンド(指先のテクニック)、セルフワーキング(手順どおりに操作することで必ず決められた通りの現象が起こるもの)の3つに分けられます。
アンビシャスカードは名作であり、基礎
これができれば他のマジックはいらないとダロも言うように、カードマジックの基本技法がアンビシャスカードにはぎっしり詰め込まれています。
アンビシャスカードにはさまざまなマジックに応用され、カードマジックを本格的にやりたいという人は、ぜひマスターしておきたいトリックです。
しかし、アンビシャスカードを実践する前に、まずはブレイク(カードの間にすき間を作る技法)などの基本テクニックを学ぶ必要があります。
そのためには正しいお手本、教材を見つけることが大切です。
マジックの動画サービス「マジックムービージャパン」は、カードマジックのテクニックを多数紹介しています。
マジック日本代表にもなったプロのマジシャンによる丁寧な解説付きで、初心者でも楽しみながらマジックのテクニックを身につけることが可能です。
カードマジックの基本をみっちり叩きこみたい、華麗な手品に挑戦したいという人は、ぜひ積極的に利用してみてください。
アンビシャスカードにはマジックのすべてがある
アンビシャスカードは、世界で最も人気があるカードマジックといっても過言ではありません。
その人気の秘密は、カードマジックにおいての基本技法が、アンビシャスカードの演出の中には詰まっているからです。
カードマジックをもっとレベルアップしたい、観客が盛り上げるマジックをマスターしたいという人は、ぜひアンビシャスカードに挑戦してみてください。
この記事のまとめ
- アンビシャスカードは最もポピュラーなカードマジック
- アンビシャスカードはトランプさえあればどこでもできる
- アンビシャスカードにはマジックの基本技法が詰め込まれている
- アンビシャスカードの前に基本的なテクニックを練習する必要がある