テレビの超能力特集などでよく目にする、丸や四角などのマークが描かれたカードをご存知ですか?
マジックでもよく使われているそのカードは、「ESPカード」という名称で呼ばれています。
ESPカードはどういった由来で、なぜ丸や四角といった図柄(マーク)が描かれているのでしょうか。
そこで今回は、ESPカードの誕生した経緯とどんなマジックに使われているか、詳しく解説していきます。
目次
ESPカードとは?
ESPとは「超感覚的知覚(Extra Sensory Perception)」のこと。
透視、テレパシー、予知など五感を超えている能力、つまり超能力を意味する超心理学の用語です。
では、どういったことにESPカードは使われていたのでしょうか。
ここではESPカードの本来の用途を解説します。
なにが書かれてる?
ESPカードには、丸・四角・十字・星・波の5種類のマークが描かれています。
この5種類のマークは「ESPシンボル」とも呼ばれ、一般的に各マークが5枚ずつの25枚セットが基本です。
超能力実験に開発された
最近はマジック、とくに超能力的な現象を演出するメンタルマジックによく使用されていますが、もともとはESP実験用に考案されました。
ESPカードは、1930年代に心理学者ジョセフ・バンクス・ラインが超心理学研究所を開設し、超能力のESP研究をはじめたことで開発。
この5種類のマークは「イメージしやすい」「読み取りやすい」という特徴を持ち、より明瞭な実験結果を得られるようデザインされたものです。
当初は、ESPの実験は通常のトランプが使用されていました。
しかし、トランプには数字とマークが描かれていることから、どうしても実験結果の分析が複雑になり、不明瞭な部分があることが問題になったのです。
そこでジョセフ・バンクス・ラインは、同僚の心理学者カール・ゼナーに協力してもらい、もっとシンプルな5種類のマークを描いたカードを開発。
現在のかたちになりました。
ESPカードは、デザインしたカール・ゼナーにちなんで「ゼナーカード」とも呼ばれています。
心理学者ジョセフ・バンクス・ラインは、ESPカードを使った実験を数百万回も行い超能力を科学的に探求してきましたが、現在はESPカードによる超能力実験はあまり行われていません。
今では、乱数を発生させる電子的装置を使用した実験が主流となっており、ターゲットにも特定の図柄を選ばせるのはでなく、画像や音声などを使った自由応答方式を採用しているようです。
ESPカードを使った超能力実験・訓練
ここでは、ジョゼフ・バンクス・ラインが実際に行った超能力実験を紹介していきます。
実験方法
- 被験者2人が向かい合って座る
- 1人はESPカードの5種類のマークを見て、1つのマークを頭の中でイメージする
- もう1人は、相手がイメージしているであろうマークを予想する
- 予想が当たっているか確認する
この実験は、最初に5種類のマークを用意し、その中から選択してもらうという強制選択方式。
実験者同士イメージが共有できるかどうかという”テレパシー能力”の実験として行われました。
この実験は数百万回行われ、被験者2人のマークが一致した率は約21%。
5種類のカードで偶然同じマークを選ぶ確率は20%とされていますので、実験ではわずかながら上回ったという結果になり、超能力の存在を否定できない実験となりました。
また、ESPカードは超能力の訓練にも使われることがあります。
とくに、カードが裏向きの状態で表がどのマークであるかを当てるという透視の訓練によく使われています。
訓練方法
- 5種類のESPカード5枚をよくシャッフルし、裏向きの状態で並べる
- 意識をESPカードに集中して、マークを予想する
- 裏向きのカードの下に予想したマークのカードを並べる
- 裏向きのカードを表向きにして答え合わせ
- 1~4を5回繰り返す
当った枚数が5回で11枚以上を目標に、透視能力を鍛えるという訓練方法です。
日増しに正解率がアップしたら、能力開花の可能性も!
ESPカードを使ったマジック
ESPカードを使うことによって、超能力のような現象のカードマジックを行うことができます。
通常のトランプを使用するよりもシンプルであるぶん、よりマジックの不思議さを際立たせることが可能です。
ESPカードを使ったマジックをいくつか紹介していきます。
マークの予言
ESPカードの3つのマークの中から、観客に好きなマークを1枚選んでもらい、前もってそれを予言してみせるというマジックです。
非常にシンプルなマジックですが、それだけにインパクトもあります。
ESPカードを使ったマジックでは、定番中の定番です。
封筒を透視
ESPカードの好きなマーク1枚を観客に選んでもらい、それを不透明な封筒に入れてもらいます。
そして、封筒の中を透視し、観客が選んだであろうマークを予言。
封筒の中からカードを出してみると、観客の選んだマークと演者の予言したマークが一致しているというマジックです。
観客とカードを一致させる
演者と観客がESPカードを5枚ずつ体の後ろに持ちます。
演者がカード1枚を裏向きのままテーブルに置き、次に観客に好きなカード1枚を重ねて置いてもらいます。
交互にカードを1枚ずつ重ね続け、カードの表を見るとすべて一致しているというマジックです。
読心術で当てる
演者が後ろを向いている間に、観客2人に好きなカードを1枚ずつポケットに入れてもらいます。
演者は2人の心を読んで、ポケットの中のカードを言い当てるというマジックです。
相手の行動を誘導する
まず、ESPカード10枚を自由にシャッフルしたときに表向きになるカードの枚数とマークの種類を予想し、メモに書いておきます。
次に、観客に10枚のESPカードを渡し、裏表を混ぜて好きな回数だけシャッフルしてもらいます。
シャッフル後、広げたESPカード10枚のうち、表向きのカードの枚数とマークの種類がメモの通りの結果になります。
まるで相手の行動をコントロールしていたかのように見せるマジックです。
マジックをマスターすれば超能力者の仲間入り
ESPカードを使用したマジックは、まるで超能力のような現象を生み出すことができます。
つまりマジックをマスターすることで、誰でも超能力者の仲間入りができるということです。
マジック初心者であまり自信がないという人は、マジック動画を観て練習してみてはいかかでしょうか。
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ESPカードは今ではマジックのアイテム
以前は超能力の実験に使われていたESPカードですが、現在はマジックの定番アイテムとしても広く利用されています。
とくに、超能力のような現象を魅せるメンタルマジックに効果的なアイテムです。
超能力者のような演出を魅せてみたいという人は、通常のトランプではなく、ぜひESPカードを使ってマジックを披露してみましょう。
もともとは超能力を証明するために作られたカードなので、マジックにESPカードを登場させるだけでも、十分な演出効果が期待できるはずです。
ESPカードはさまざまなマジックショップでも商品化されており、トランプと同じバイスクル柄のものも登場しています。
また、自分で簡単に作ることもできます。
ぜひ、ESPカードを使ったマジックに挑戦してみてください。
この記事のまとめ
- 超能力的な現象を演出するメンタルマジックによく使われる
- もともとESPカードは超能力の実験用に作られた
- 超能力の訓練にも使われていたが、今はマジックで使われている
- ESPカードを使えば、超能力のようなワンダフルマジックができる