マジックや手品でよく使われる「ミスディレクション」は、トリックを見破られないために必須のテクニックとされています。
実はミスディレクションはマジックだけでなく、推理小説や映画、ドラマ、そして普段の日常生活の中でも活用されているのをご存知でしょうか。
今回の記事では、ミスディレクションの詳しい意味や、効果的なやり方などを徹底解説していきます。
目次
ミスディレクションとは
「ミスディレクション」という言葉にはどういった意味があるのでしょうか。
その種類についても詳しく解説してきます。
言葉の意味
ミスディレクション(misdirection)とは、英語の「mis(誤った)」と「direction(指導、方向)」の2つの言葉が語源となっています。
直訳すると「誤った指導」、「誤認誘導」という意味ですが、マジックでは、トリックの部分がバレないように意図的に観客の注意をそらすテクニックという意味で使われています。
観客に「〇〇だと思い込ませる」ように仕向ける行動をとることで、驚きのパフォーマンスを披露するのです。
また、推理小説やミステリー小説でもミスディレクションはよく使われ、「ミスリード」とも呼ばれています。
3つの種類
ミスディレクションは、「フィジカル(身体的)」、「タイム(時間)」、「サイコロジカル(心理的)」の3種類に分類されます。
フィジカル ミスディレクション
人の感覚器官である視覚・聴覚などに直接訴えかけるテクニックです。
身体的動作や音、色などを使って観客の注目をそらします。
タイム ミスディレクション
時間と人の記憶の曖昧性を利用したテクニックです。
時間の経過とともに人の記憶は曖昧になり、注意力もなくなっていきます。
目の前のマジックがどのような手順で行われてきたか、ひとつひとつはっきり覚えている観客はほとんどいないでしょう。
タイムラグによる時間のズレを利用することで、観客はマジックのトリックに気づくことなく、目の前で起きている現象を不思議なものと錯覚します。
サイコロジカル ミスディレクション
人のもつ常識や思い込み、先入観を利用したテクニックです。
人は今までの経験をもとに、物事を「これはこうである」「必ずこうなる」というように無意識に判断しがち。
その心理を利用し、間違えた認識へと誘導することで、見破られたくないトリックから観客の意識を遠ざけます。
「黒子のバスケ」のキャラクター能力のひとつ
人気漫画「黒子のバスケ」の主人公、黒子テツヤが使うテクニックとして「ミスディレクション(視線誘導)」が使われています。
黒子がもっている「存在感が薄い」という特徴を活かして、相手の目線を自分からそらすことでマークを外し、まるで視界から消えたかのように錯覚させます。
黒子の身体能力はそれほど高くはありませんが、ミスディレクションのテクニックと優れた観察力を駆使して、チームを勝利へと導いていきます。
カードゲーム「ハースストーン」にも
カードゲーム「ハースストーン」では、「ミスディレクション」という呪文カードがあります。
自分が攻撃されたときに使うと、攻撃対象を別のキャラクターに変えることができる能力です。
相手のヒーローが攻撃対象に変わることもあり、一気に逆転できる可能性もあります。
実際にミスディレクションはこんなシーンで使われている
ミスディレクションは、マジックや推理小説、映画やドラマ、そしてあらゆる日常生活でも使われています。
いくつか紹介していきましょう。
マジック
カードマジックやコインマジックなどの定番マジックから大がかりなステージマジックにおいて、ミスディレクションは重要な役割を担っています。
演者は動作や視線、言葉などを使って観客の注意を引きつつ誘導し、その間にトリックを仕掛けるなどの秘密の動作を行っています。
推理小説本
推理小説では、読者の推理を間違った方向へうまく誘導し、最後にはどんでん返しの結末で驚かせるという手法として、ミスディレクション(ミスリード)が使われています。
簡単に結末がわかってしまったらつまらないですよね。
読み手は自分自身で謎を解明しようと考えを巡らせますが、それでも予想外の結果に衝撃を受けることも少なくないはずです。
映画・ドラマ
映画やドラマでは、シーンを次々と変化させていくなど視聴者を飽きさせないためにいろいろな仕掛けがあることが多いですが、ストーリー展開を最後の最後までわからなくするためにミスディレクションがよく使われています。
そのためには、役者の演技力が必要不可欠です。
クイズ
冷静になって考えたらわかるようなクイズでも、つい引っかかってしまうということはありませんか?
実はそれもミスディレクションです。
人がもつ思い込みや固定観念を利用した、いわゆる引っかけクイズやなぞなぞの出題にも使われています。
嘘・隠し事
ウソをつくときやなにか隠し事をしたいとき、話を別の方向へそらすために無意識にミスディレクションを使っている場合が多くあります。
また、人を騙すときに意図的な応用も可能で、オレオレ詐欺などの詐欺行為や犯罪行為に悪用されることもあるため注意が必要です。
【方法】日常でも使えるミスディレクションのやり方
日常生活に活かせる心理戦略としてのミスディレクションは、どのような方法があるのでしょうか。
具体的なやり方を解説していきます。
視線誘導
人間には、動きや言葉、音などについ反応してしまうという性質があります。
集中した状態であれば、その感覚はさらに研ぎ澄まされます。
指を差す、自分の視線や顔をそちらへ向ける、言葉で誘導する、音を出すなどして相手の意識を意図的に他へ注目させることで、「見てほしくない」ところを効果的に隠すことができるでしょう。
思い込みの利用
誰でも思い込みや固定観念、先入観、偏見などをもっているため、「あれに違いない」「こうなってるはず」といったように物事を判断してしまうことがあります。
それを利用して、相手に物事を信じ込ませることができるのです。
一度そうだと思い込んだものをなかなか変えることは難しいので、ウソがバレたくないときや、真実を知られなくないときに効果的です。
またこのテクニックをうまく利用すれば、ビジネスや人間関係、恋愛などに活かせるでしょう。
話題をそらす
今まで話していた内容から相手の意識をそらすために、話をはぐらかすのもミスディレクションです。
急に話題を変えるのではなく、相手の話を聞きながら順を追って少しずつ別の話にもっていくのがポイントです。
人の噂話や悪口など、あまり聞きたくない話をうまくかわしたいときや、秘密や隠し事を守りたいとき、答えにくい質問をされたとき、論点をずらしたいときなどに役立ちます。
効果的なタイミングであれば、言い争いを回避することもできるでしょう。
相手に気づかれずにうまく話題を変えるというミスディレクションは、円滑なコミュニケーションを取るための必要なテクニックです。
ミスディレクションを極めればあなたも優秀マジシャンに!
ミスディレクションはマジックに必要不可欠な心理誘導テクニックです。
マジックには、トランプやコインなどの小道具をうまく扱う技術や、指先のテクニックなどももちろん必要ですが、せっかく仕掛けたトリックがバレてしまっては意味がありません。
マジックを極めたいならば、ぜひミスディレクションを極めましょう。
マジック動画情報サイト「Magic Movie Japan(MMJ)」では、日本を代表するプロのマジシャンが、その鮮やかなテクニックを惜しみなく動画で披露しています。
種明かしのレクチャー動画を見ることで、マジックを習得することができるでしょう。
周りをあっと驚かすことができる優秀なマジシャンを目指している人は、利用してみてはいかかでしょうか。
ミスディレクションは心理学のテクニック
マジックで必須とされるミスディレクションは、実は心理学のテクニックであり、日常生活のさまざまなシーンでも使われています。
効果的に使えば、マジックだけでなくビジネスや人間関係にも役立ちそうですね。
集中力が必要ではありますが、ミスディレクションの使い方はそれほど難しくなく、コツさえつかめばすぐにでも使うことができます。
あなたもぜひミスディレクションを身につけて、あらゆる場面で活用してみましょう。
この記事のまとめ
- ミスディレクションはマジックには必須のテクニック
- ミスディレクションは3種類に分けられる
- ミスディレクションは推理小説や映画などにも使われる
- ミスディレクションは日常生活でも活用できる
- ミスディレクションは優秀マジシャンの得意技