トランプにはハートやスペードなどの数字カードとは別に、ピエロのような絵柄の「ジョーカー」というカードが混ざっていますよね。
カードゲームでよく活躍するカードですが、なぜ存在していて、なぜ道化師という独特な絵柄なのでしょうか。
目次
トランプのジョーカーの意味・由来
トランプの「ジョーカー」は、ハート、ダイヤ、スペード、クローバーの4つのスートに属さない、イラストだけが描かれた札で、1つのトランプに1~2枚含まれているカードです。
ババ抜きでは、最後まで残っていたら負けになる「外れ札」として扱われますが、他の多くのカードゲームでは「切り札」や「代わりの札」として使用されます。
ちなみにこのことから、アニメや漫画などの作品では「隠されていた最強クラスの人物」や「切り札的存在」をジョーカーキャラと呼ぶようになりました。
そんなジョーカーが登場したのは、19世紀の頃です。
カードが持つ意味や由来には諸説あるので、メジャーなものを3つ紹介しましょう。
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ユーカーの切り札
ジョーカーというカードは、もともとトランプには存在しませんでした。
そんなジョーカーが初めて使われたのは、19世紀のカードゲーム「ユーカー」です。
「ユーカー」は手札から最も強いカード「切り札」を選び、そのカードを元にカードの強さを競っていくというアメリカの家庭用カードゲーム。
「切り札」に選んだカードが元々の数字カードとして扱えなくなるため、数字とは別に最強のカードが登場したのです。
この説では、ドイツ語で「ユーカー」を意味する「Juker」という単語からカード名が生まれたといわれています。
無敵の道化師ジェスター
ジョーカーにはよくピエロが描かれていますが、これはサーカスなどにいるピエロではなく、中世ヨーロッパに登場する宮廷道化師が由来と言われています。
宮廷道化師には、王族や貴族に仕えて、ジョークや悪ふざけで周囲を楽しませるという役割がありました。
その一方で、他の人がなかなかいえない「王族や貴族への批判」を口にする役目もあったのだとか。
通常であれば重い処罰が課される行動ですが、宮廷道化師の悪ふざけにムキになると「器が小さい王だ」と思われてしまうため、見逃されることも多かったのだといいます。
誰もが恐れる「身分が高い人物への批判」ができる無敵の道化師という存在が、ジョーカーの「切り札」という意味にマッチしていますよね。
時間を表すトランプ
トランプのカードは、それぞれが「時間」を表しているといわれています。
まず4つのスートはそれぞれ春夏秋冬を示し、各スート13枚のカードは1シーズン13週の暦を意味しています。
カードの合計数は364枚なので、残りのジョーカー1枚を足すと365日、1年間の日数と同じ枚数になりますよね。
さらに、予備で入っていると思われがちなもう一枚のジョーカーは、4年に1度しか訪れない「うるう年」を示しているんだとか。
トランプの中に1年が凝縮されていると考えると、「カード占い」なども当たる気がしてきますよね。
トランプ占いでのジョーカーの意味
ジョーカーはトランプ占いでも使われるカードです。
占いで使われる時には「大逆転」という意味を持ちます。
人生における思わぬハプニングやトラブル、障害や悪運を覆していく力を表しているのです。
絵柄が怖いものが多いので「不吉なカード」と思われがちですが、強いパワーを秘めたカードなんですね。
ただし、トランプ占いは多くは4つのスートのカードのみを使って行います。
ジョーカーを使って占いをしたいなら、専用の占い方法を調べてからやってみましょう。
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トランプのジョーカーの絵柄が怖い理由
トランプのジョーカーの多くは、不気味で怖い絵柄で描かれていますよね。
ピエロと聞くと丸いシルエットでコミカルな印象が強いですが、なぜジョーカーはこんなに怖い見た目をしているのでしょうか。
実はそれは「宮廷道化師が周囲からどう思われていたか」に由来します。
ここでは、なぜ怖い絵柄で書かれてしまうのかについて、2つの説をピックアップしました。
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王様は愚者が怖い
宮廷道化師は、王様や貴族の悪口や批判を口にできる特別な存在です。
もし雇い主がそれに怒って罰を与えたら「格下の相手に批判されて怒った器の小さい人物だ」という印象を広めてしまいます。
王様や貴族は、たとえ宮廷道化師が何を言ったとしても許さなければならず、だからこそ何を言い出すか分からない彼等を恐れていたのです。
このことから、ジョーカーは王族や貴族からも恐れられる存在として怖い絵柄で描かれるようになったといわれています。
ちなみに、宮廷道化師はタロットカードにも描かれています。
「愚者」というカードがこれにあたりますが、「自由」「無邪気」という良い意味がある反面、逆位置では「軽率」「落ちこぼれ」といった厳しい意味も持つカードです。
悪魔との契約者
実は、平民にとっても宮廷道化師は恐ろしい存在でした。
中世ヨーロッパの平民にとって、身分が高い人は「税金取り立てたり戦争をしたりする怖い存在」です。
少しでも批判すれば、罰されるだけでなく処刑されてしまうこともあったのです。
しかし、彼らに雇われている宮廷道化師はそんな怖い人に平気で批判や悪口を言うのですから平民は戦々恐々としていたでしょう。
そのため、平民の中では「宮廷道化師は悪魔と取引したのだ」という噂もあったといいます。
そんな噂が、恐ろしく不気味なジョーカーの絵札を作り出したのでしょう。
トランプのジョーカーを生かしたマジックも
トランプのジョーカーはたくさんのカードゲームで「切り札的存在」として扱われています。
マジックの世界でも、1つのトランプに1、2枚しか入っていないカードを上手に使った驚きの手品がたくさんあるんです。
ちょっと怖い絵柄だからこそ、マジックにジョーカーを使えば印象がぐっと引き締まりミステリアスな雰囲気が強まりそうですよね。
ジョーカーを使ったマジックをかっこよく披露するなら、オンラインでプロマジシャンのテクニックやマジック解説動画が見れる「Magic Movie Japan(MMJ)」を利用してみましょう。
普段はショーでしか見られないプロの技を身近で見られるので、今まで知らなかったハイレベルな技を学べますよ。
トランプのジョーカーの意味は意外と深い!怖いけどかっこいいジョーカーの雑学を披露しよう
トランプのジョーカーは怖い絵柄が特徴的ですが、由来を知ればなぜ切り札的な扱いをされるのかが分かり怖いだけでなくかっこいいカードであることが分かりますね。
カードに描かれたピエロと宮廷道化師の関係や、ジョーカーが生まれたきっかけなどは小ネタにもちょうどよく、カードゲーム中の雑学披露にもぴったりです。
マジックをする時にも、ジョーカーの雑学を語りながら不思議な技を魅せれば「ミステリアスで知的なマジシャン」という印象を強められるでしょう。
今まで何気なく使っていたカードの存在を、マジックやカードゲームをさらに引き立てる「切り札」として活用しましょう。
この記事のまとめ
- ジョーカーはトランプに1、2枚入っている道化師の絵柄のカード
- 19世紀アメリカのカードゲーム「ユーカー」がきっかけで誕生した
- ジョーカーの由来の「宮廷道化師」は唯一王様を批判できる人物として恐れられていた