手品といえば、トランプを当てたり、コインを消したり、シルクハットからハトを出すものばかりだと思っていませんか?
実は、トリックを使わずにできる手品があるのです。
それこそが人間の心理を巧みに利用する「メンタルマジック」です。
この記事では、そんな不思議なメンタルマジックについて解説していきます。
目次
悪用厳禁のメンタルマジック
メンタルマジックはその名の通り、相手の心を利用して行うマジックのことです。
これはメンタリストDaiGoさんでおなじみのメンタリズムのようなもの。
アメリカでは、マックス・メイビンというマジシャンが有名です。
相手の無意識を巧みに利用することから、このマジックに精通すると相手を自由自在に操れるようにもなります。
つまりメンタルマジックとは、悪用厳禁の禁断マジックなんです。
そもそもメンタルマジックとは
では具体的にメンタルマジックとはどのようなものでしょうか?
マジックには大きく分けて2つのカテゴリがあります。
ひとつは視覚的マジック。
もうひとつが知覚的マジックです。
視覚的マジック
あったはずのものが消えたり、離れた場所に一瞬で移動したり、視覚的に不思議なことが起こるマジックです。また、視覚的マジックはほとんどテーブル上などで道具を使います。パーティグッズなどのマジック用商品は、主にこちらの視覚的マジックのトリックが仕込んであることが多いです。
知覚的マジック
相手の心を読んだり、起きることを予言したりするマジックなので、必ずしもマジックグッズは必要ではありません。また、道具を使っても、トリックがない場合が多いでしょう。あたかも観客に超能力が存在するかのように思わせるのが、この知覚的マジックです。
このようにメンタルマジックは、知覚的マジックがメインとなっています。
扱うものは「心」と「情報」。
したがってマジック以外の場所でも応用が利きますし、場合によっては他人を自由に操ったりすることもできるわけです。
大事なのは「話術」
メンタルマジックをするうえで最も大事なことは、心理学に精通することでも、マジックの知識を増やすことでもありません。
最も大事なこと、それは「話術」です。
マジシャンに対して観客が「これは心理学を応用しているんだな」と思ってしまっては、不思議に思ってもらえずショーは台無し。
逆にいうと、マジシャンは相手に「こういうことが起きたら不思議だな」と思わせる必要があります。
その不思議な現象を目の当たりにしたときに、人は驚くのです。
そのためメンタルマジックにおいては、「これはあり得ない」と思うようにうまく誘導する技術が必要なので、多少の演技力も問われます。
かといって、今から起きることの内容をくどくど説明しても興ざめするだけ。
できるだけ自然に、暗示をかけるように話をもっていくのがポイントです。
メンタリストの3つの基本
ではここから、メンタルマジックを使えるようになるための基本事項を説明をします。
メンタリストとして必要なことは3つ。
それは、集中力、観察力、そして記憶力です。
一流のメンタリストは、この3つが備わっています。
呼吸をコントロールして「集中力」UP
まずは集中力の鍛え方です。
集中力を鍛えるには、呼吸法が使えます。
集中力を上げるための呼吸法は以下のものになります。
- あぐらをかいて両手を膝に置く(手のひらは上にする)
- 横隔膜の動きを意識しながら深く長い呼吸をする
- より力強く深い呼吸ができていると感じたら、徐々に呼吸を速くする
- 苦しくなったら、また徐々に遅くして深く長い呼吸を5分ほど行う
この呼吸法を続けることで集中力が高まります。
集中力向上以外にもさまざまな効果があるので、ぜひ毎日の日課として取り入れてください。
日頃から「観察力」を鍛えよう
次に観察力です。
観察力を鍛える方法としては、とにかく普段の生活の中で些細なことでも観察をしていくというのが一番です。
毎日目にするものでも、五感すべてを使ってじっくり観察し推理する練習をしましょう。
日々の積み重ねにより、きっとシャーロック・ホームズのような観察力が得られることでしょう。
興味をもつことが「記憶力」向上につながる
最後は記憶力です。
記憶力向上に大切なことはズバリ、興味です。
なんにでも興味をもって接するようにしてください。
たとえば、今までまったく関心のなかったことについて調べたり、集めた情報について覚える努力をしてみたり。
これだけで自然と記憶力は強化されるはずです。
集中力、観察力、そして記憶力の3つがセットになれば、あなたもメンタリストになれます。
【やり方&種明かし】メンタルマジック
それでは実際にメンタルマジックはどうやるのか、いくつか見ていきましょう。
マインドコントロール
まずはメンタルマジックの定番、マインドコントロールです。
マインドコントロールというと何か特殊な訓練を受けた人だけができるマジックのように感じる人がいるかもしれませんが、実はそうでもありません。
むしろ話術や観察力などがなくても実践可能なものもあります。
- 紙に以下の単語を書き出して、相手に心の中で選んでもらう
「ジュース、放水、レトルト、ビーチ、塩、ジャム、インド、サイレン」 - 続いて、選んだ単語に関連する言葉を、以下から選んでもらう
「消しゴム、リンゴ、コンセント、消防車、カレー、リモコン、海水、ボールペン」 - 同じく、ひとつ前に選んだ単語に関連する単語を以下から選んでもらう
「電池、白い、赤い、インク、辛い、コンポ、長い、書く」 - さらに、ひとつ前に選んだ単語に関係する言葉を以下から選んでもらう
「パソコン、うなぎ、とうがらし、白米、パセリ、グリーンピース、ヘビ、星」 - 相手が最後に選んだ単語は「とうがらし」になる
関連する単語を選んでいるうちに、最初に選んだ単語に関わらず、だんだんとうがらしを選ぶように選択肢を狭めてきているわけです。
しかし、相手はあたかも自分の心が読まれたような気分になります。
ゲームや心理テスト感覚で楽しんでもらえるマインドマジックです。
※ ごく稀に、違った感性や意見の人がいて失敗することもあります。
紙でできる!即席メンタルマジック
紙とペンがあればあればどこでも披露できる即席マジックです。
そこら辺のメモ帳や紙を5、6枚用意し、くしゃくしゃに丸めます。
その中で、ハズレだと思うものを2個、直感で観客に選んでもらいます。
次はその2個からマジシャンがハズレと思うものを除外します。
それを繰り返し、最後にひとつの紙玉を選びます。
そしてすべての紙球を広げていくと、なんと最後まで残った(選ばれた)紙には「アタリ」、それ以外には「ハズレ」と書いてあるというマジックです。
これで観客が、あたかも超能力でアタリの紙玉を選んだように錯覚します。
タネは簡単です。
アタリの紙玉を丸めるときに、角を立たせておくなど、マジシャンにしかわからない印をつけておくのです。
相手に渡す2個はマジシャンが渡します。
相手から渡された2個のうち1個を選ぶのはマジシャンです。
したがって、観客は自分が選んでいるような気分になるものの、実際はすべてマジシャンが選んでいます。
考えたり言いよどんだりしないように気をつけてください。
あくまでも偶然選んだ一個がアタリであるかのように見せかけるのが鍵です。
頭の中の数字をピタリと当てる
相手が選んだ数字を選ぶマジックなので特別な能力は要らず、手順通りに行えば必ず成功するネタです。
- 相手に1~10のあいだで好きな数字を思い浮かべてもらう
- その数字を2倍にしてから、10を足してもらう
- さらに2で割ってもらう
- そこから最初に思い浮かべた数字をひいてもらう
- その数字は必ず5になる
あらかじめ紙に5と書いて、それをマジックナンバーとしてどこかに隠しておけば、あたかも予言したかのように錯覚するでしょう。
メンタルマジックを習得したい人必見のアイテム
ほとんど道具を使うことのないメンタルマジックですが、もし習得してもっとうまくなりたいのなら、いくつかアイテムを使うのもいいでしょう。
なかでもESPカードは必見。
透視や予言など超能力の実験には欠かせないカードです。
もちろんタネが仕込んであるのですが、たくみな話術や観察力、集中力を養えば、あたかも本物の超能力のように見せることができます。
おすすめ本「メンタルマジックで奇跡を起こす本」
また、メンタルマジックを習得したいなら、ゆうきとも著「あなたにもできる!メンタル・マジックで奇跡を起こす本」という書籍がおすすめです。
マジック初心者にもわかりやすく書かれてあり、メンタリズムで人を驚かせたい人にはうってつけの作品です。
ぜひご興味のある人はお読みになってください。
傑作DVD「テクニカルなメンタルマジック講座」
また、動画で学びたい人はこんなDVDはいかがでしょうか。
マジシャンの荒木一郎さんによる「テクニカルなメンタルマジック講座」です。
やや上級者向けのDVDですが、画像よりも動画で学びたいという人にはおすすめの教材です。
王道マジックも種類がいっぱい!
メンタルマジックだけではなく、一般的なマジックも学びたいという人は「マジックムービージャパン(MMJ)」というサイトがおすすめです。
カードマジックやコインマジックなど、あらゆるジャンルのマジックが動画で紹介されています。
難易度別、カテゴリー別に分かれているので検索も簡単。
説明動画付きでフィードバックにもなりますので、興味のある人はぜひ一度ご覧になってみてください。
超能力のような不思議マジックで驚きを提供しよう
メンタルマジックの魅力はなんといっても超能力のような不思議さを演出できることです。
また、人の心の動きを利用して行うマジックなので、メンタルマジックに精通すると、日々の生活でも役に立ちます。
もちろんそれだけに絶対に悪用はしてはいけませんよ。
ルールを守り、あくまでマジックのジャンルのひとつとしてお楽しみください。
この記事のまとめ
- メンタルマジックとはメンタリズムのような人の心理を利用したマジック
- メンタルマジックには話術が必要不可欠
- メンタリストになるには「集中力」「観察力」「記憶力」を鍛えよう