みなさん「くりまたすみ」をご存知でしょうか?
90年代、突如エンタメ番組に姿を現して「亀を飛ばす手品」を披露したことで人気となった人物です。
覚えてはいるけど、その正体までは知らないという人もいるかもしれません。
- 「いったい誰なんだろう?」
- 「栗間太澄をそもそも知らない!」
そんな人のために本記事では、栗間太澄さんについて紹介し、彼の正体とその波乱万丈な人生について最新情報を交えて解説していきます。
目次
くりまたすみとは?謎の素人マジシャンの正体!
「くりまたすみ」(以下、栗間太澄)についてまったく知らないという人のために、まずは彼の経歴を簡単にお伝えします。
投稿!特ホウ王国
「投稿!特ホウ王国」とは、1994年5月から1997年9月まで放映されたバラエティ番組です(制作:日本テレビ)。
その内容は、視聴者から「おもしろ仰天スクープ」を募り、投稿されたスクープを紹介するというもの。
栗間太澄さんはその紹介スクープに登場して、床の間に笑いと驚きを提供しました。
名物企画
栗間太澄さんは初登場以降、「謎の男 栗間太澄の新たなる挑戦」シリーズに出演。
そこで繰り広げられる”手力(てぢから)”ことマジックの数々で「投稿!特ホウ王国」の名物企画となり、成熟期~晩年にかけて人気を博しました。
参考動画:“栗間太澄の新たなる挑戦(Mr.マリック超魔術)-ニコニコ動画”
http://www.nicovideo.jp/watch/sm31862569
くりまたすみの正体はMr.マリック
自称・郵便局員という肩書があった栗間太澄さん。
そんな彼の正体は、「ハンドパワー!」でお馴染みのMr.マリックさんです。
彼は「ミスターマリック→みすたまりく」を逆読みして「くりまたすみ」という名前にしたのです。
さらに「手力です!」という決め台詞は「ハンドパワー」を日本語化したものであること。
決めポーズも類似していることなどから、当時「栗間太澄=Mr.マリック」と察した人も多いのではないでしょうか。
関連を否定していた栗間太澄さんでしたが、「謎の男 栗間太澄の新たなる挑戦」の最終回でMr.マリックさんと同一人物であることが発覚しています。
のちにMr.マリックさんは、テレビ朝日「しくじり先生 俺みたいになるな‼」にて、詐欺師呼ばわりされちゃった先生として出演。
詳しい経歴は下記にてお伝えしますが、一時テレビから姿を消したMr.マリックさんでしたが、栗間太澄としてテレビ出演のオファーを受けたことがきっかけで復帰することができ、再びメディア露出をするようになったのです。
くりまたすみ(Mr.マリック)とは?超魔術使いの壮絶な人生!
栗間太澄さんの正体はMr.マリック(以下、マリック)さんなのですが、彼には知られざる壮絶な人生を送ってきたのです。
今のマリックさんを形成した過去を紐解いていきましょう。
生い立ち
マリックさんは、1949年の1月1日に岐阜県の岐阜市で誕生しました。
本名は松尾昭(まつおあきら)。
マジックにハマったのは中学生の頃です。
マジックがプロ並みに上手い転校生に出会い、その魅力に夢中になったのがきっかけとされています。
地道な下積み生活
長男だったマリックさんは、高校卒業後、地元企業に就職しました。
しかし、プロマジシャンとしての夢を諦めることができず、デパートでのマジック用品販売に転職。
ほそぼそと名古屋のキャバレーでマジックショーを披露していました。
マジックへの情熱を再確認し、改めて舞台マジックの楽しさを知ったマリックさんは「名古屋奇術愛好会」に入会します。
その後、日本橋三越劇場で行われる全国大会の出場の誘いを受け、東京のマジック全国大会に出場。
マリックさんは、当時有名なマジシャンだった松旭斎天洋さんや初代引田天功さんの舞台を目の当たりにし、もっと真剣にマジックに取り組もうと気持ちを新たにしました。
しかし、その心持ちはPCAM(環太平洋のマジックアソシエーション)への参加であっさり打ち砕かれてしまいます。
ハワイで開催されたPCAMで、日本人ではじめて「クロースアップ部門」で優勝して有頂天になっていたマリックさん。
ところが、その夜に憧れの島田晴夫さんの豪華絢爛な舞台を目の当たりし、自分とのあまりの落差に愕然としてしまったのです。
プロとの実力の差を思い知ったマリックさん。
そんな彼に、「慌てる必要はない。とにかく引き出しの中を一杯にしてからプロになりなさい」と手を差し伸べてくれたのは、大手手品メーカー「テンヨー」の当時の社長でした。
こうして、マリックさんはテンヨーに転職。
そこでマジック用品の実演販売を14年間続けることになったのです。
マジシャンとしての転機
デパートで実演販売を続けていた当時、超能力者ユリ・ゲラーの来日で「超能力ブーム」が巻き起こりました。
世の中に「超能力で起きる不思議な出来事こそホンモノ」という認識が生まれた一方、「手品師=インチキ」というイメージが広まり、マジックを「楽しむもの」ではなく「懐疑的にみるもの」という人が増えていったのです。
この認識が、マリックさんの転機になります。
マリックさんがマジックの仕事を続けるために力を入れたのが、超能力に着想を得たマジックです。
タネも仕掛けもないことを観客自身に確認してもらうという、クロースアップ(観客の目の前でマジックを披露)を発展させた「テーブルホッピング」というスタイルを確立します。
流行語「ハンドパワーです」の誕生
あまりにも超能力に酷似していたため、とあるショーでは「超能力か否か」をめぐり争いが起きてしまうほどでした。
この場を収めるためにとっさに出たのが、「ハンドパワーです」という有名なセリフ。
「きてます」とともに流行語になりました。
そんなある日のこと、マリックさんのショーを見ていたテレビマンからテレビ出演の依頼を受けます。
テレビ出演にあたりマリックさんに打診されたのが、マジックだと言わないこと。
これが見事に成功しました。
テレビスタッフと「超魔術」という造語をつくり、「ハンドパワーです」と言ってマジックか超能力か曖昧にすることで、視聴者の興味を引いたのです。
ストレスの蓄積...
テレビ出演で高視聴率をたたき出すほど、マリックさんの超魔術は瞬く間に話題になりました。
しかし、その一方でマリックさん自身は多忙スケジュールに悩まされ、超能力と語って番組出演を続けることに対する負い目でストレスが蓄積します。
さらに、仕事に追われ家庭を疎かにしていたことも重なり、夫婦仲は冷え切り、子ども達は中学退学や引きこもり…プライベートでも追い込まれていきました。
その結果、マリックさんはストレスの影響で顔面麻痺に陥ってしまったのです。
麻痺によって言葉の発音すらままならない状態で、「自分は超能力者ではなくマジシャンである」とカミングアウトしましたが、彼を超能力者と信じていた多くの視聴者からの批判が続出。
その結果「詐欺師」というレッテルを貼られてしまいます。
カミングアウト後しばらくは日本でテレビ番組の出演はなく、海外でマジックショーを実施。
そして、1993年頃から日本のバラエティ番組に「栗間太澄」として出演をし、カムバックを果たしています。
芸名
知らぬ人はいない「Mr.マリック」。
その名前にいったいどんな意味があるのかご存知ですか?
「マリック」は、”マジック”と”トリック”という言葉が由来になっています。
娘
マリックさんには、歌手デビューしている娘さんがいらっしゃいます。
バラエティー番組「しくじり先生 俺みたいになるな‼」など、テレビでも何度か娘のLUNAさんとの共演を果たしています。
今でこそヒップホップ歌手、シンガーソングライターとして活躍しているLUNAさんですが、中学を中退するなどグレていた過去があるようです。
「仕事の忙しさにかまけて家庭をかえりみなかったことが原因」と、マリックさんは当時のことを告白しています。
マジックを笑いに変えた亀の飛行
「投稿!特ホウ王国」の番組内で、視聴者からの投稿「ウルトラマンを飛ばす男」に対抗意識を燃やした栗間太澄さん。
テレビスタッフを自宅に招き、亀の空中浮遊などのマジックを披露します。
ここで使われているマジックのタネは、糸で亀を吊るという古典的なもの。
とくに珍しいマジックではないものの、このマジックが披露されるとスタジオには笑いがあふれました。
どんなマジックでも、見る人が驚くことができ、自分が楽しむことができる。
かつて超能力と偽ってマジックをしていたときには味わえない、マリックさんの初心を思い出させる「人を喜ばせ、笑顔にするマジック」だったのです。
タネがわかればマジックは誰にでもできる
Mr.マリックさんは、さまざまなマジック解説書籍を出していたり、N-Academy でマジシャン養成スクールを開設していたりするので、教材は揃えやすいといえるでしょう。
しかし、書籍も養成スクールも初期費用がかかります。
そんなときは、「Magic Movie Japan(MMJ)」というマジック解説動画サイトがおすすめです。
トランプマジックやコインマジックなど、身近な道具を使ったマジックが難易度別に紹介されています。
基礎的なマジックはすぐにでもできます。
種明かし動画を見て、みんなを驚かせるマジックの練習をしてみましょう。
忘年会や誕生日などのイベントで披露すると盛り上がり必至ですよ!
くりまたすみ(Mr.マリック)のトリックはマジック
「ハンドパワーです!」というセリフが有名な超魔術師・Mr.マリックさん。
超能力かと見間違えるようなマジックの数々を披露していますが、栗間太澄さんと同一人物である事実を知らなかったという人もいるのではないでしょうか。
テレビ出演当初はマジシャンであることを隠していたMr.マリックさんですが、「超能力ブーム」が事の発端だったとはいえ、超能力にアイデアを受けたからこそ、のちに素晴らしいマジックを披露することができたともいえます。
超能力とは違って、マジックはタネがわかれば誰でも再現が可能です。
マジックのネタを覚えて、ぜひとも友達を楽しませましょう。
この記事のまとめ
- Mr.マリックは「栗間太澄」「松尾幻燈斎」という別名で、テレビ出演していた時期がある
- 「栗間太澄」は「Mr.マリック」を逆さに読んだ名前
- 超能力者としてテレビ出演していたMr.マリックだが、実はマジシャンだった
- 人を喜ばせる手段のひとつであるマジックは、タネがわかれば誰にでもできる