プロマジシャンを志す者ならば、「サーストンの三原則」を聞いたことがあるはずです。
しかし、エンターテイメントの場において、マジックをパフォーマンスする側でない限り、聞いたことがない人も多いかもしれません。
この記事では、マジシャンが知っておくべき「サーストンの三原則」について解説します。
マジックに興味がある人は、ぜひ読んでみてくださいね!
サーストンの三原則とは
アメリカを代表するマジシャンの1人に、「ハワード・サーストン」という人物がいます。
彼が直接この原則を提唱したわけではないですが、彼の名前に由来しているようです。
まずは、サーストンの三原則について1つずつ解説していきます。
原則1.マジックを披露する前に何が起こるか説明しない
マジックはパフォーマンスを見れば、どんな現象が起こるかわかるので、パフォーマンスをする前に「今から何を行うか」ということを説明する必要はありません。
マジックのテクニックだけでなく、体の動きや顔の表情、演技までもがマジシャンの技術の1つですよね。
先の展開が読めない状態で、マジシャンがいきなり手の中から鳩を飛ばしたり、意外なところからトランプを出したりすると観客は驚きます。
もしマジシャンが「手から鳩を出します」などとあらかじめ説明したら、驚きは激減してしまうでしょう。
魔法のような演出は見てからのお楽しみ、というわけです。
原則2.同じマジックを繰り返し演じない
テレビのマジック番組などで、マジシャンがその場で見ている芸能人に「もう一度やってほしい!」とお願いされる場面を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
2つ目の原則は、観客からそういったお願いをされたときでも、同じマジックを繰り返し演じてはいけないというルールです。
どんなマジックでも1回目に見たインパクトに勝るものはありません。
たとえ同じマジックを再び披露したとしても、観客はどんな現象が起こるのかわかっているため、どうしても「タネを見破ること」にフォーカスしてしまいます。
そうすると「予想外の驚きを楽しむ」というマジック本来の楽しみが減りますし、タネを見破られる可能性も上がるでしょう。
ただし、マジックの種類によっては数回程度なら見せても問題ないパフォーマンスもある、ということも頭の片隅に入れておいてください。
原則3.種明かしはしない
3つ目の原則である「種明かしの禁止」は、当たり前ですよね。
ダイナミックなパフォーマンスをするステージマジックでも、お客さんの目の前で行うカードマジックでも、実際のトリックはシンプルなものが多いです。
「どうやってるの!?」「トリックを教えて!」とお願いしてくるお客さんも中にはいますが、種明かしをして喜ばれる可能性は非常に低いです。
トリックを聞いたとしても、「なんだ、そんなことか」とさっきまで驚いて感動していた気持ちが、一気に台無しになることもあります。
どんなにせがまれたとしても、次のマジックを披露して意識をそらせることに集中したほうがいいでしょう。
サーストンの三原則が重要な理由
サーストンの三原則が重要な理由は、3つの原則に共通する「相手から意外性を奪ってはいけない」ということです。
あらかじめ何が起こるか聞いても、同じマジックを再び見ても、マジックのタネを聞いても、その瞬間から意外性がなくなってしまいますよね。
マジックは「どんな現象が起こるかわからない」ドキドキ感やワクワク感を楽しむのが醍醐味でもあります。
その緊張感や高揚感が無い状態でのマジックに、感動する人はほぼいないでしょう。
マジックを見ている人たちに最大限楽しんでもらうためにも、これらの三原則が重要となるのです。
サーストンの三原則に則りたいけど…こんなときどうする?
手品師であれば、基本的にはサーストンの三原則に則ってパフォーマンスをするのが理想的ですが、観客の中にはくせ者もいるので、途中でツッコまれたりする可能性もあります。
そんな困ったときにおすすめの対処方法を紹介します。
「もう1回見たい」と言われたときの対応
もしお客さんに「もう1回見たい」と言われてしまったら、「いいですよ」と答えながら、さっきと似たようなマジックをするのがおすすめです。
マジシャンは人気商売ですし、お客さんあってのお仕事なので、向こうからリクエストがきた場合は「いや無理です」とバッサリ断ることはおすすめできません。
たとえば「トランプの数字や模様を当てるマジック」をして、もう一度とリクエストされたら、他のお客さんのほうを向いて「カードがどこに入っているかを当てるマジック」をするといった具合です。
お客さんもパフォーマンスの流れを止めてまで「もう1回!」ということはまずありませんし、バリエーション豊富なマジックを見ることができてむしろ満足感が増すでしょう。
それでも最後にまた言われたら「3回目からはプラス料金を取らなきゃいけないんです」とジョークで交わしましょう。
「そのマジック知ってる」と言われたときの対応
もしパフォーマンス中に「そのマジック知ってる」と言われたら、「なるほど!次はそのトリックを使ってみます!」と答えるのがベターです。
「なるほど!」と答えることで、「自分はこのマジックのタネを知っている」という相手の自己満足を満たすことができます。
さらに、「次はそのトリックを使ってみます!」と言うことで、「今回のマジックはそのトリックではない」というメッセージを密かに伝えることができますよ。
仲のいい友達や家族にマジックを披露する場合
親しい関係の人の前でマジックを披露するにあたって、サーストンの三原則を守りたいのであれば、あらかじめアピールしておくといいかもしれません。
たとえば、サラッと「1回きりの特別マジックだからよく見ててね!」「タネも仕掛けもありません!」などと言うのです。
プロのマジシャンと観客という関係であれば、「魅せる側・見る側」という関係性が成り立ちますが、素人が友達にマジックを披露するような場合は、いろいろとややこしくなるケースもゼロではありません。
親しい友達だと事細かにツッコまれることもありますし、いちいちマジックの最中にストップさせられることもあります。
残念ながら日本の奇術解説書にも、マジック理論書にも「仲のいい友達への対処の仕方」は明確に記されていないので、上手い具合に相手との距離感を保ちましょう。
マジックのタネを聞かれたときの断り方
マジックのタネを聞かれると、相手との関係によっては断りづらいこともありますよね。
そんなときに有効な断り方を伝授します。
タネをばらさないという条件があるので…
マジックのタネを聞かれたときの断り方でおすすめなのが、「タネをばらさないという条件があるので…」と相手に伝えることです。
マジックのタネは「誰かが先に考えたもの」であり、自分が発案したものではないテクニックがほとんどです。
日本ではあまり行われていませんが、アメリカの手品学校などでは、学校を卒業するときに「タネをバラさない」という誓約書にサインをすることがあるようです。
そうやって多くのマジックラバーに守られてマジックの神秘性は保たれているので、たとえ大事なお客さんだったとしても、そういう背景を伝えればきっとわかってくれるでしょう。
お客様をがっかりさせたくないので...
マジックのタネを聞かれたときは「お客様をがっかりさせたくないので…」とやんわり伝えるのも有効です。
マジックのパフォーマンスでは「いかに人間の意識をそらし、楽しませることができるか」ということもポイントです。
しかし、タネを知ってしまうと、「次はそこに注意して見てみよう」「これって〇〇なんだよな~」などとお客さんは考えるので、本来の楽しみ方ができなくなります。
中にはあまりにタネが単純すぎて、がっかりしてしまう人もいるでしょう。
そんな状況を避けるためにも、相手のためを思う理由でやんわりと断るのがおすすめです。
ジョークっぽく無理なことを交換条件として挙げる
ジョークっぽく無理なことを交換条件として挙げるのもアリです。
世界中どこの手品師であっても、「積極的に種明かしをしたい」というマジシャンはいません。
しかし、どこの世界でもいつの時代でも、「タネを教えて!」と言ってくる人は存在します。
そういう人たちには、いちいち相手をするよりもジョーク交じりで、「もちろんいいよ、1ネタ3,000万円ね」などと無理な交換条件を挙げて諦めてもらいましょう。
サーストンの三原則を意識して自然なマジックを演出しよう!
マジック界ではサーストンの三原則を知らない人はいないと言われているほど、マジックをする者にとっては有名な法則です。
とても当たり前のようなことですが、サーストンの三原則を深堀りすると、その当たり前のことを守るということが、いかに大事であるかを知ることができます。
これからマジックを披露する機会がある人は、サーストンの三原則を意識して、感動的なマジックを演出してくださいね!
もしプロのテクニックを生で見たいと思ったら、実力派のプロマジシャンが多数在籍しているマジシャン派遣「MAGICDOOR」の利用がおすすめです。
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誕生日会やホームパーティー、結婚式などのイベントにももってこいなので、気になる方は、ぜひ一度気軽に問い合わせをしてみてください。
演者を困らせるような質問はしないようにしましょうね!
この記事のまとめ
- サーストンの三原則とは、マジシャンがマジックを披露するにあたって覚えておくべき3つの法則
- サーストンの三原則が重要な理由は、相手からの意外性を奪ってしまうから
- 「そのマジック知ってる!」と言われたら「なるほど!そのトリックもいいですねぇ」とお客さんを否定しないコメントをするのがおすすめ
- マジックのタネを聞かれたら「タネをばらさないという約束があって…」「がっかりさせたくないので…」とやんわり断るのがおすすめ
- サーストンの三原則を守るには、手品のバリエーションを増やすのがおすすめ