誰もが思い浮かべる手品のBGMといえば、「オリーブの首飾り」ではないでしょうか。
この曲のイントロが流れると、これから手品がはじまるんだと、期待感にあふれた気持ちになる人は少なくないはずです。
ところで、いったいいつからこの曲が手品やマジックで使われるようになったのでしょうか。
また、なぜこの曲が定番となったのでしょう。
メロディはすぐに思い浮かんでも、楽曲については何も知らないという人も多いはずです。
そこで今回は、なぜ「オリーブの首飾り」が手品の定番曲となったのか、詳しくまとめてみました。
目次
手品・マジックで必ず流れる曲
手品・マジックの定番曲といえば、「オリーブの首飾り」といわれるほど広く知られており、いまやワールドミュージックといっても過言ではありません。
一時期はテレビ番組に出演するマジシャンの多くが、必ずこの曲を使用していたこともあるほど、定番のテーマ曲として有名です。
思わず口ずさんでしまうミステリアスなメロディが、手品やマジックのショーをより一層盛り上げ、魅力的にしてくれる楽曲として昭和の時代から何世代にも渡って親しまれています。
「オリーブの首飾り」とは
「オリーブの首飾り」の原曲は、1970年代ヨーロッパでヒットした「嘆きのビンボー」というディスコナンバーです。
この楽曲を、フランスの作曲家・指揮者であるポール・モーリアが率いる「ポール・モーリア・グランド・オーケストラ(フィリップス)」が、ムードミュージック風にアレンジし、日本の公演で演奏したことで広く知られるようになりました。
1975年に日本で発売したシングル盤は、約12万枚を売り上げ、ポール・モーリア最大のヒット曲になったのです。
さらに、「オリーブの首飾り」を収録したベストアルバム「ポール・モーリアグレイテスト・ヒッツ・リフレクション18」も年間アルバムチャートインを記録。
毎年のように来日公演を行うなどコンサート活動も精力的に行い、日本で人気を博しました。
ただ、「オリーブの首飾り」がまさか手品の定番曲として使用されるようになるとは、モーリア自身も予想していなかったでしょう。
「オリーブの首飾り」と近年のマジック・手品の関係性
「オリーブの首飾り」は、現在でもマジックの定番曲として広く使用されています。
ただ、昭和の時代からある古典的な手品やマジックを披露する場面での使用が多いことから、近年人気の「おしゃべりマジック」ではあまり使用されていないようです。
なぜならおしゃべりマジックは、マジック中に台詞が入り、その名の通り観客とおしゃべりしながら進めていくというスタイルだからです。
おしゃべりマジック用BGMやおしゃべりマジック用アタックは、台詞の邪魔にならないような曲調のものが使われることが多く、「オリーブの首飾り」のような耳に残りやすい有名な曲はあえて避ける傾向にあります。
また「オリーブの首飾り」は、昭和マジックの定番曲としてのイメージが強いため、バラエティ番組などでネタのように扱われることもあります。
そのためステージに笑いを必要としていないマジシャンは「オリーブの首飾り」をあえて使わないようです。
一時期は、手品やマジックでは必ずこの曲がかかるといわれていた「オリーブの首飾り」も、時代とともに、そのイメージや役割が少しずつ変わってきています。
しかしそれでも40年以上、多くの世代に親しまれている楽曲であることは間違いありません。
初めて「オリーブの首飾り」をBGMに使ったのは奇術師「松旭斎すみえ」
「オリーブの首飾り」が手品のテーマ曲として定着したのは、女性奇術師であり、ステージマジックの第一人者である松旭斎すみえさんがステージで使用したことがはじまりです。
1975年頃、松旭斎すみえさんがラジオ番組でたまたま「オリーブの首飾り」を聞き、明るいリズミカルな曲調が自分の舞台の雰囲気に合うと思ったことから、BGMとして使ってみようということになったそうです。
「オリーブの首飾り」をマジック中に流す演出はとても評判が良く、彼女のステージで毎回使われるようになりました。
それから段々と周りのマジシャンたちにも「オリーブの首飾り」が広まり、BGMとして使うマジシャンが増えていったというわけです。
初代引田天功が「オリーブの首飾り」を使って一気にメジャーに
https://www.youtube.com/watch?v=Kx4Brt2T99Qプレビュー
松旭斎すみえさんが使用したことで、マジシャンたちの間で広まった「オリーブの首飾り」は、その後、「日本の脱出王」の異名で知られる初代引田天功さんもBGMに使いはじめたことで、一気にメジャーになりました。
この頃には、テレビ番組でも手品のテーマ曲は必ずといっていいほど「オリーブの首飾り」をBGMに放送され、プロのステージだけでなく、アマチュアのマジック発表会などでも使用されるほど誰でも知っている定番曲となったのです。
「オリーブの首飾り」は邦題?
「オリーブの首飾り」の原曲は、作曲者であるフランス人アーティスト「クロード・モルガン」によって生み出され、ディスコグループ「ビンボー・ジェット」が演奏した「EL BIMBO(エル・ビンボ)」という曲です。
当時日本では、洋楽のタイトルをそのまま使用するのではなく、曲ごとに邦題をつけていました。
「EL BIMBO(エル・ビンボ)」も、最初に「嘆きのビンボー」という邦題がつけられ発売されましたが、残念ながらヒットはしませんでした。
その後、ポール・モーリア版が発売されることとなり、「ビンボー」という単語が日本語の「貧乏」と同じ発音であまり印象がよくないため、「オリーブの首飾り」という邦題が新たにつけられたのです。
ちなみに「エル・ビンボ」の意味は、スペイン語の直訳で「ふしだらな女」という意味であり、手品やマジックのイメージとはかけ離れています。
また「オリーブの首飾り」も、手品やマジックどころか原題ともほぼ関係のない邦題です。
しかし、これが大ヒットにつながったわけですから、イメージを重視してオリジナルの邦題をつけるということは、結果的に大成功だったといえます。
このようなオリジナルの邦題は現在ではほとんど見られませんが、日本人にしか味わえない洋楽の楽しみ方のひとつでしょう。
Mr.マリックのあの定番曲は?
ハンドパワーでお馴染みのマジシャンMr.マリックさんも、最初は「オリーブの首飾り」を流しながらマジックを行っていたそうです。
1980年代の超能力ブームの頃から「超魔術」や「ハンドパワー」を使ったマジックでテレビに出はじめ、人気が出ました。
そこで、テレビ出演の際に専用のBGMが欲しいということになり、選ばれた楽曲が、イギリスのポップグループ「The Art of Noise(アート・オブ・ノイズ)」が1985年に発売した「Legs」という曲です。
番組のスタッフが選んだいくつかの楽曲のなかから、Mr.マリック自身が気に入った曲だったそうで、その後「Mr.マリックのテーマ」として、彼の登場シーンで必ず使われるようになりました。
この楽曲は、近代未来的なサウンドとリズムが特徴で、「オリーブの首飾り」で作り上げられた今までの手品やマジックのイメージとは異なる、新しいマジックの世界観を感じさせるテーマ曲として多くの人に知られるようになりました。
あなたも「オリーブの首飾り」を使って本格マジック
パーティーや宴会で、テレビに出ているマジシャンのように、「オリーブの首飾り」を流しながら手品やマジックを披露できたらかっこいいですよね。
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手品・マジックをするなら曲で雰囲気作り
手品やマジックを披露するとき、ただ淡々とやっているだけではなかなか盛り上がりませんよね。
マジックの不思議な世界を楽しんでもらい、観客も一緒になって盛り上がれるようなマジックショーにするには、やはり雰囲気作りが大切です。
楽しい雰囲気作りに大きく役立つのが、BGMです。
「オリーブの首飾り」はイントロを聞いただけで多くの人がワクワクするでしょうし、定番過ぎて思わず笑ってしまう人もいるかもしれません。
楽譜を購入してピアノを弾ける人に渡して、伴奏をお願いできれば、さらに豪華なステージになります。
きっと、あなたのマジックショーを大いに盛り上げてくれることでしょう。
この記事のまとめ
- ポールモーリアの「オリーブの首飾り」は誰もが知る手品・マジックの曲
- 「オリーブの首飾り」を最初に使ったのは「松旭斎すみえ」
- 「初代引田天功」が使ったことによりマジック定番曲に
- 「Mr.マリックのテーマ」も新たなテーマ曲として定着
- マジックを盛り上げる雰囲気作りに音楽は効果的
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