消えるコイン、変わるカード、ひょっこりと現れる愛らしい小動物たち。
手品・マジックには、子どもたちが夢中になる要素が盛りだくさんです。
その好奇心ゆえに、移り気な子どもたちを集中させることのできるマジックは、幼稚園・保育園で多くの子どもをお世話する保育士さんにうってつけ!
今回は、大掛かりな準備が必要のない身近なアイテムでできる手品やマジックを、ご紹介していきます。
やり方を覚えて、ぜひ子どもたちに披露してあげてください。
目次
保育士にはもってこいの出し物
保育士という仕事は、子どもたちに注目してもらうことの多い職業です。
しかし、まだまだ幼い子どもたちですから、いくら言葉でいっても聞かない、わからない場面が多々出てくることでしょう。
そんなとき役に立つのが手品・マジックです。
たとえば、ひらひらと子どもたちの目に入るようにハンカチをひらめかせて、それが不意にふっと消えてしまったら...。
子どもたちは息をのんで、「どこへいったの?」「ハンカチ消えちゃった!」などと驚くことでしょう。
すぐにハンカチを取り出してみせてもいいのですが、ちょっともったいぶって「さぁ、どこへいっちゃったのかな?」などと語りかけてあげると、子どもたちはこの人はちゃんと自分を見てくれる、話をしてくれる人だと感じ、より注目が集まります。
こんな風に、子どもたちの興味を引くマジックは、子どもたちのお世話をする保育士にはもってこいの出し物なのです。
準備なし!簡単手品と種明かし
保育士にもってこいの手品・マジック。
しかし自分は不器用だし、マジックをやるのには向いていない…そう思われている方もいるのではないでしょうか。
そういった人はきっと、テレビなどで大掛かりな装置のステージマジックや、複雑な仕掛けを使ったマジックショーをご覧になって、後ろ向きな考えになっているのではないかと想像します。
でもご安心ください。
手品・マジックにもジャンルがあり、なにも難しいものばかりではありません。
これからご紹介する手品は、自分の手だけを使うものや、身の回りにある日用品を使用したシンプルに行えるネタばかりを集めました。
お手元にペンはありますか?ティッシュペーパーもありますか?
準備はOKでしょうか。
それでは一緒にやってみましょう!
親指が伸びる!
そこに自分と観客さえいればできる、もっともシンプルな手品をご紹介しましょう。
しかし初見の衝撃度はかなりのものです。
子どもたちにも楽しんでもらえることでしょう。
やり方はたったの3ステップ。
やり方
- 左手の親指を立てる
- 「いまからこの親指に魔法をかけます」などの言葉をかけ、左手で立てた親指を右手で握る
- 「魔法をかけると親指が伸びていきます!」と右手の親指を、少しずつ立てていく
このびっくりマジックに必要なのは、器用さよりも演技力です。
本当に魔法をかけているかのように演出して、指を伸ばす速度に緩急をつけて観客の目、興味をほかのところへ持っていかれないようにするのがポイントです。
シンプルなだけにすぐにわかってしまうタネですが、子どもにも教えやすく挑戦しやすい手品なので、披露したあとはみんなでやってみましょう。
曲がるペン!
これは目の錯覚を利用したトリックです。
やり方
- ペンなどの長細いものを用意する
- 真ん中より端を指2本で軽く持って上下に揺らす
たったこれだけで、固くまっすぐであるはずのペンがふにゃふにゃと曲がって見えるのです。
ポイントは、ものを持つ指にはあまり力を入れないこと。
それから、持っているところとは逆の端を振り回すつもりで振ることです。
このふたつをクリアするには、手だけではなく肘から先全部を使って動かすのがコツ。
割り箸でもできますが、子どもたちが食事時に真似する可能性が高いため、ペンで行うのがおすすめです。
一瞬でなくなるティッシュ!
これはあまり大勢向きではない手品です。
1対1で見せるのに向いているので、使いどころには注意が必要です。
やり方
- 片方の手で筒を作る
- 反対の手で筒にティッシュをつめる
- すべてつめたら軽く両手を合わせ、ティッシュをつめた手とは反対の手へ素早く移動
- 移動させたら間を置かずティッシュを遠くへ投げる
- 両手を開いて、ティッシュを持っていないことを見せる
どうして大勢向きではないか、もうおわかりですね?
ティッシュを投げるところを目撃されてしまえば手品として失敗ですから、1~2人が限度でしょう。
成功のコツは、ティッシュを入れたほうの手に視線をひきつけること。
一度お手本を見せて、次からは相手の子にティッシュをつめさせてあげると、自分も参加したという興奮と緊張で目を離さないでいてくれる確率が高まります。
手を大きく動かして、目で追いかけさせることで注目させるのもひとつの手です。
そしてもうひとつ。
ティッシュを投げるモーションをなるべく素早く行うことで、相手に気づかれにくくなります。
とくに小さい子はいろいろなことに興味を示しますから、どんなにしかけの手に注目していても、視界の端に動くものがあれば追ってしまうことがあります。
できるかぎり、子どもの視野の外で動くのがポイントです。
耳にティッシュを入れる!?
これまた演技力が試されるマジックです。
実際に耳にティッシュを入れるわけではないので、ご安心ください。
やり方
- 「これからティッシュを耳に入れます」などの宣言をして、ティッシュをよく見せる
- 片手で筒を作って耳に当て、その中にティッシュを入れる
- 全部入れたらティッシュを入れたほうの手を反対の耳に当て、ティッシュを取り出す
この手品を行うときに用心しなくてはいけないのは、「耳の中を見せて」「両手を広げて見せて」といわれることです。
子どもたちからこんな発言が飛び出す前に、自然な流れで手を反対の耳に当てなくてはいけません。
ティッシュを入れた手に注目されないように、空いた手で耳の穴を探って
「もうちょっと、奥に、…よいしょ!」
などとティッシュが耳の中にあることをアピールしてみたり、入れるポーズのときにちょっと痛がってみたりするなど、子どもたちの目を手ではなく耳に留めておくための演技が決め手になります。
鉛筆が手にくっつく!
子どもたちが真似しやすい手品ならこちらがおすすめ。
握っていた鉛筆が、手を離しても落ちない!という手品です。
- 手の甲が観客側になるように片手で鉛筆を縦に握る
- もう片方の手は、握っている手首に手を添え中指で、鉛筆を支える
- 鉛筆を握っている方の手を開く
握っていた手を離すと、手の甲から見ている観客側からは、まるで鉛筆がくっついているように見えるというわけです。
この手品を成功させるコツは、手を添えていることを自然にふるまえるかどうかです。
対応する理由をいくつか考えておいて、子どもたちのテンションなどに応じて答えてあげると喜んでもらえるでしょう。
ちょっとの細工でできる!簡単手品と種明かし
続いては、少々準備や道具が必要な手品・マジックをご紹介します。
とはいっても、何日もかけるほど練習が必要なものではなく、比較的誰にでもできる簡単なものばかりです。
必要道具も、スーパーやホームセンターなどで手に入るアイテムばかりです。
お楽しみ会や誕生会、発表会の一幕に披露すれば、イベントの盛り上がり度アップします。
ぜひ挑戦してみてくださいね。
水がジュースに大変身!
まずは涼しげな水を使ったマジックから。
ジュースといっても、本当に飲めるジュースになるわけではありません。
間違って子どもが飲んでしまわないよう、マジック成功後の取り扱いには気をつけてくださいね。
用意するもの
- ペットボトル
※500ml以下のものが使いやすいのでおすすめ - 水性絵の具
- 水
事前準備
- ペットボトルのフタの部分に好きな色の絵の具を塗っておく
- ペットボトルの包装をはがして、中身がよく見えるようにしておく
やり方
- ペットボトルに水を注ぐ
- 絵の具を塗っておいたフタをして、勢いよくペットボトルを振る
フタに塗っておいた絵の具が水で溶けて色がつき、透明の水がまるでジュースに変身したように見えるというトリックです。
水を飲み口ギリギリまで入れてしまうと、振ったときにペットボトルの中で水がうまく動かず失敗してしまう恐れがあるので、2~3cm余裕を持たせておくとよいでしょう。
色のつき具合は絵の具の量によって変わってくるので、何度か練習してちょうどいい濃さを見つけてください。
ペットボトルの空中浮遊!
みかんに指をつっこんで「空飛ぶみかん!」なんてやったことはありませんか?
あの手品のペットボトルバージョンです。
用意するもの
- ペットボトル
※ボトルの全体に包装があるものがおすすめ
包装をはいでしまったり包装の面積が少ないものだと、タネが最初から見えてしまう恐れがあるので、おすすめできません。
事前準備
- ペットボトルの一部に親指が入る程度の穴を開けておく
やり方
- 穴を開けたペットボトルに親指を入れる
- ペットボトルが宙に浮いているような動きをする
見破るのも難しくないトリックなので、種明かしをしたあとで子どもたちにもやらせてあげましょう。
きっと楽しい経験になるはずです。
コイン消失!
テーブルマジックの定番「コインマジック」。
コインをペンが通過するコインマジックも王道ではありますが、「コイン消失マジック」は難易度が低めのマジックとなっております。
用意するもの
- コイン
- 透明のプラスチックコップ
- ハンカチ
- 黒い画用紙 2枚
事前準備
- 黒い画用紙をコップのふち合わせて丸く切り、コップのふちに貼る
- 黒い画用紙をマットにして、そのうえに細工したコップを逆さにおく
※これで細工などされていない普通のコップに見えるというしかけです。
やり方
- 「今からコインを消します」!などの宣言をして、コインとコップにハンカチを被せる
- ハンカチを被せながら、コインの上にコップを置く
- ハンカチを外す
コップに貼っておいた画用紙がコインを隠して、まるでコインが消えてしまったかのように見えるマジックです。
コインを戻すときも同様に、ハンカチを被せてコップを移動させれば元通り。
注意ポイントはコップについて触れられることです。
その対策としては、「不思議な力を持っているハンカチ」というテーマで注目をそらしたり、ポケットにコインを隠していないと確認させてみたり、コップから疑惑の目を外させるのが成功のコツです。
一瞬でできるポップコーン!
コンロも電子レンジも使わずに、ほんの数秒でトウモロコシの種からポップコーンを作るマジックです。
とはいえ、本当に調理するわけではありません。
用意するもの
- ポップコーン用のトウモロコシの種
- 出来上がっているポップコーン
- 紙コップや不透明のプラスチックコップ 2つ※中身の見えない容器ならOK
事前準備
- 片方の容器の6~7割くらいまでポップコーンを入れる
- その上にトウモロコシの種を入れる
※下に入れたポップコーンが見えないように、トウモロコシの種は表面が平らになるまで入れるのがポイント
⇒これで、容器の中にはトウモロコシの種が詰まっているように見えます。
やり方
- 容器の中に入っているのがトウモロコシの種だと観客に見せる
- もう片方の容器を逆さまにして被せ、上下に激しく振る
※外れてしまうのが心配なら、マスキングテープなど粘着力の低いテープで閉じてしまってもOK - 5~10秒ほどよく振ったら、上の容器を外す
- ポップコーンとトウモロコシの種が上下入れ替わり、観客の目には一瞬でポップコーンが完成したように映る
このマジックで気をつけるポイントは、事前準備と持ち運びのときです。
トウモロコシの種の間からポップコーンが見えてしまっては、やる前から失敗に終わってしまいます。
相手のトランプを的中させる!
マジックといえばこれ!
トランプを使った予言マジックです。
大人でもびっくりするカードの数字を当てるマジックを紹介しましょう。
テーブルマジックは、ごくシンプルで短時間で終われるトリックと、ドキドキのスリルを味わう時間が楽しめるトリックの2つをご紹介しましょう。
用意するもの
- トランプ
- トランプを置くためのテーブル※テーブルはなくてもよい
4つの「7」から選ばれた1枚を当てる
ハート、ダイヤ、クラブ、スペードの4つの「7」から、相手が選んだカードを当てるというマジックです。
しかけはとても単純。
カードの絵柄の向きの違いを見て当てるというものです。
トランプの「7」だけ、中央のマークが上に寄せられています。
この絵柄を利用して相手の選んだカードを見つけるのです。
事前準備
- 4枚のカードを全て同じ向きにしておく※中央のマークがどれも上か、もしくは下になっていればOK
やり方
- よく見えるようにカードをきって広げ、相手に1枚引いてもらう
- 相手が引いたカードを確認している隙に、手元のカードの向きを上下反転させる
- 引いたときのままの向きでカードを戻してもらう
- 再度入念にカードをきる
- カードを見て、向きの違うカードの番号を当てる
このマジックで気をつけたいポイントは、やはりカードの向きです。
戻してもらうときに反転されてしまうと特定ができなくなってしまうので、自然な誘導で引いた向きのまま戻してもらうようにしましょう。
全てのカードの中から選ばれた1枚を当てる
こちらのマジックは、宴会でも利用できるインパクト抜群のマジックです。
トランプマジックの定番「全てのカードから1枚を当てる」という内容となっています。
マジックには、テクニックが必要なものもありますが、今回ご紹介するのは事前に仕込みをしておくパターンで誰もができるマジックです。
事前準備
- カードを奇数と偶数に分ける
- カードを分けたら元通りひとつの山にしておく
⇒これを扇状に広げると、左右で数字が分かれます。
やり方
- 扇状にカードの半分(偶数か奇数)を自然に広げ、その中から相手に1枚選んでもらう
- カードの番号を覚えてもらっているうちに、さっきと反対側のカードの半分(偶数か奇数)を扇状に広げる
- 相手にカードを戻してもらう
- カードの数字を確認して選ばれたカードを当てる
※偶数の中に1枚だけ奇数がある・奇数の中に1枚だけ偶数があれば、そのカードが相手が引いたカードということ
このマジックで一番大切なことは、カードシャッフルをしないことです。
順番が狂ってしまえばカードを当てることができなくなるため、そのまま使用するようにしましょう。
マジックは子どもの「考える力」を育てる
マジックを子どもたちに見せることは、楽しさだけでなく「考える力」を育てることにもつながります。
この記事のタイトルに「種明かし」とあるように、すべての手品・マジックにはタネ(しかけ)があります。
それをいかに”タネもしかけもない不思議な物事”に見せるか。
これがマジシャンのテクニックです。
子どもたちは、マジックを見ることで「すごい!」と喜ぶと同時に、「どうやってやっているんだろう」「どうなっているんだろう」と頭を働かせます。
この疑問が解けたとき、すなわちタネを明かしたときには、大きな達成感に包まれます。
その解釈が正解でなくてもかまいません。
まずは子どもが「自分で考え、解明した」という達成感を得ることが大切です。
その喜びがわかった子どもたちは、さらにいろいろなことを自分で考えて、達成感を得ようとします。
また、タネを解明したことで自分でマジックをやってみたり、いくつかのしかけを組み合わせて新しいマジックを作ってみたりと、新しい遊び方に挑戦することもあるでしょう。
それをすごいと褒めてあげれば、子どもたちのやる気につながります。
解釈が不正解のときは、視点を変えてみるなどの発想の転換をさせ、正解のときは、大いに褒めて思考することの楽しさを教えましょう。
大人が考え方の手助けをしてあげることで、子どもたちの「考える力」はぐんぐん育ちます。
ちょっとしたアイデアで盛り上がる!
簡単に行えて子どもたちが喜ぶこれらのお手軽マジック。
使う品物を変えてみたり、種明かしにクイズゲームを交えてみたりと、ちょっとしたアイデアをプラスすることでさらに盛り上げることができます。
もし、ここで紹介したマジック以外にももっと知りたい!という場合は、「Magic Movie Japan(MMJ)」というマジック動画サイトがあるので、こちらを参考にしてみるのがおすすめです。
このサイトでは、日本を代表するマジシャンたちが披露するマジック動画と、その種明かし動画を見ることができます。
難易度やマジックのジャンルによってカテゴリ分けもされているので、目的別に手品・マジックを見つけることができます。
- もっとたくさん子どもたちを喜ばせたい!
- 子どもの成長度に合わせてマジックを披露したい!
そんなときに「Magic Movie Japan(MMJ)」が役立つでしょう。
マジックは子どもの好奇心を刺激する!
今回は、保育士におすすめの子どもが喜ぶ手品・マジックをご紹介しました。
ほかにもお札マジックや輪ゴムマジック、携帯電話を使ったマジックなど、宴会や余興にもピッタリのマジックが多数あります。
大人からすると「なんだ、こんなこと?」と呆れるような単純なしかけでも、未経験・未体験の余地が大きい子どもたちには未知への冒険になります。
また、あまりに壮大だと見ているだけで終わってしまいますが、自分にもできそうなことは挑戦してみたくなる、それが子どもの持つ好奇心です。
マジックは、そんな子どもの好奇心を刺激する素敵な魔法。
多くの子どもたちに、大きな夢を見せてあげてください。
この記事のまとめ
- マジックは子供の「考える力」を引き出し、育てる
- 身近にあるものでできるマジックは保育士にもってこい!
- トランプマジックは、簡単なタネでも本格的に見える切り札
- マジックをもっと知りたい人は「Magic Movie Japan(MMJ)」がおすすめ